東京電力福島第1原発から出た処理水の海洋放出をめぐる誤情報に対抗しようと、外務省が動画を使った広報活動を本格化させている。
2023年4月に投稿された第1弾の動画は530万回再生超え。7月には新たな動画3種類が英語で投稿され、8月1日にはその翻訳版が投稿された。ただ、その中には丸1日経っても再生数が100回に満たないものも多く、今後の拡散が課題になりそうだ。
4月公開「第1弾」は533万回再生されたのに
4月には「なぜALPS処理水の放出は安全なのか」と題した動画を公開。ナレーションは英語で、ユーチューブの機能でアラビア語、スペイン語、フランス語、ロシア語、英語、韓国語、中国語(簡体字=中国本土)、中国語(繁体字=台湾)、日本語の9種類の字幕を出せるようになっている。
「ALPS処理水に含まれるトリチウムは、自然界にも広く存在し、水道水や食料を通して 私たちの身体にも取り込まれます。しかし水と一緒に体外に排出されるため、 体内には蓄積されません」
「世界中の原子力発電所において、 国の法令を遵守した上で、トリチウムは川や海に排出されるか、換気のプロセス等を経て大気中に放出されています」
などと説明する内容で、8月2日現在で533万回再生されている。
滑り出しは順調に見え、7月には、第2弾として「29核種とALPS(多核種除去設備)」「ALPS処理水の海洋放出以外の選択肢」「海洋生物とALPS処理水」の3種類を英語で公開した。それぞれの再生回数は61万、16万、16万回だ。
林外相「国際社会に対して、日本の立場を丁寧に説明」
8月1日には韓国語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、日本語のバージョンも公開。第1弾と違って、字幕だけでなく、アニメーションの中に出てくる文字も各国語に翻訳されたバージョンだ。動画が掲載されたのは、この日の16時頃。24時間後の状況を見ると、日本語版では300回程度再生されたものもあるが、それ以外の外国語版9本のうち7本が100回未満だった。
林芳正外相は7月25日の記者会見で、英語で配信されている動画を「中国語や韓国語など、多言語で配信する考え」について問われ、第1弾の動画に多言語の字幕が付いていることを説明した上で
「今後とも、ALPS処理水の安全性について、科学的根拠に基づいて、高い透明性を持って、国際社会に対して、日本の立場を丁寧に説明をし、理解が深まるように努めてまいりたい」
と述べている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)