新型コロナウイルスの5類移行を受けて各地で大規模花火大会が復活している。福岡市では毎年8月1日開催の「西日本大濠花火大会」が夏の風物詩として知られてきたが、安全確保の問題を理由に、2018年を最後に幕を下ろしていた。23年の今年も開催していない。
ただ、SNS上で拡散された「全国花火大会」の一覧に「大濠花火大会」が含まれていたこともあり、他の地域と同様に復活すると勘違いする人もいたようだ。会場だった大濠公園(中央区)の管理事務所に問い合わせる人もおり、X(旧ツイッター)では「大濠公園で花火大会はありませんまた、今後の予定もございません」と注意喚起もされた。
コロナ禍の前に終了決まった花火大会
大濠公園は福岡市中心部の天神から地下鉄で3分ほどのところにあり、花火大会は1949年、戦没者の鎖魂と戦後復興を目的に始まった。67~78年の中断を挟んで、公園の改修工事があった88年以外は毎年開催されてきた。近年は約40万人を集めたが、主催の西日本新聞社が2018年9月、19年以降は開催しないことを発表していた。コロナ禍に突入する前に終了が決まった花火大会だ。
ところが、大濠公園の管理事務所は23年8月1日の17時、Xに「快晴の大濠公園」の写真つきで、こんな書き込みをした。18年までであれば、花火大会を待つ人々で混雑する時間帯だ。
「朝から『花火大会』についての問い合わせをいただいておりますが、大濠公園で花火大会はありません また、今後の予定もございません。公園内は火気厳禁となっておりますので、手持ち花火も禁止されております。ご理解の程よろしくお願いいたします」
「園児や児童が大切に育てていたヒマワリ花壇が観覧者に踏み荒らされるという痛恨の出来事」
管理事務所によると、「我々の関知しないところで、花火大会をやるらしいという情報が出た」といい、数件の問い合わせが寄せられた。
Xでは、花火大会の開催を期待したり、花火大会が開催されると勘違いしたりする声も散見された。まとめサイトにも、23年に開催されると誤認させる書きぶりのものがあった。さらに、「【完全版】2023年8月開催予定の全国花火大会一覧」と題してTikTokで流れている動画には、「【8/1 福岡】大濠花火大会」とある。この動画には「いいね!」が13万件ついており、誤情報が拡散した可能性もある。
この日の大濠公園では、勝手に花火をするなどのトラブルはなかったという。
花火大会の終了を発表した18年の社告によると、終了は安全確保上の問題が理由だ。18年は「過去最多の警備員、誘導員を投入」するなどして対応にあたったが、観覧者が各地で滞留。当時の厳しい状況を次のように指摘している。
「規制に反して入場しようとする方、出入り口以外から会場に侵入を試み、負傷して病院に搬送された方もいました。 園児や児童が大切に育てていたヒマワリ花壇が観覧者に踏み荒らされるという痛恨の出来事は、会場の収容人員をはるかに超える観覧希望者が殺到している現状の一端だったとも言えます。 周辺道路に人があふれ、多数の座り込み観覧が生じていることもパトカーや消防車の緊急出動を妨げかねず、 街の安全を脅かしています」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
快晴の大濠公園です????
— 大濠公園・西公園 (@ohoripark) August 1, 2023
朝から「花火大会」についての問い合わせをいただいておりますが、#大濠公園で花火大会はありません
また、今後の予定もございません。
公園内は火気厳禁となっておりますので、手持ち花火も禁止されております。ご理解の程よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/tVHy8ODwDK