自民党女性局の一行がフランス研修中の写真をSNSに投稿して批判を浴びた問題は、自民党の茂木敏充幹事長が2023年8月1日の記者会見で「真摯に受け止めなければいけない」などと言及する事態に発展した。
ただ、与野党ともに海外視察を行う機会はあり、渡航自体を厳しく批判する事態には至っていない。主に批判の対象になっているのが情報発信のあり方だが、その言及ぶりには濃淡がある。
「否定するものでありませんけど...ありませんけど...」
茂木氏は、SNSの投稿に対して「完全に観光旅行」「物価高で苦しむ国民の感覚が分かっていない」といった声が出ているとの指摘について、「そういう受け止めをされているということは極めて残念」。公明党の山口那津男代表は、投稿がどう受け止められるかについて「しっかり見通した上で責任を持って対応すべき」と苦言を呈した。
共産党の小池晃書記局長は7月31日の記者会見で、
「一概に海外にいろんな調査視察に行くってことを否定するものでありませんけど...ありませんけど...」
と断ったうえで、記念写真のポーズをまねして
「エッフェル塔の前で『これ』はないんじゃないですかっていう...」
と続けた。物価高や災害の多発で「悲鳴が上がっている」時に「やっぱりちょっと、ああいう行動は慎んだ方がいいのではないか」と批判した上で、
「それだけ話題になった視察になったんですから、実のある少子化対策をぜひ自民党として出していただきたい」
などと皮肉った。
「撮るのはいいです。それを喜々としてアップするかどうかは...」
旧民主党は、07年に小沢一郎代表(当時)率いる435人規模の「交流協議機構・大長城計画訪中団」を中国に送ったことがあり、万里の長城や北京の天壇公園で撮影した集合写真が、今でも党のアーカイブサイトに残っている。
今回起きた自民党女性局の問題をめぐり、野党は「研修」そのものへの批判には抑制的だ。立憲民主党の岡田克也幹事長は8月1日の会見で、研修の是非には言及せずに、投稿された写真の問題に絞って問題点を指摘した。
「写真を見ると、何をしに行ったのか国民から見て疑問を持たれても仕方がないような、そういうものもあると思う。そういった誤解を招くことのないように十分注意して行かれるべきだったのではないかと思う」
対照的に多弁だったのが国民民主党の玉木雄一郎代表。研修のあり方については「結果があったのかということの説明責任を、しっかり果たせるかどうか」が重要だとする一方で、エッフェル塔前の写真を投稿することについては
「撮るのはいいです。それを喜々としてアップするかどうかは、これはもう、政治家としてのセンスの問題なので...」
とバッサリ。有権者にとって、次の選挙での判断材料になり得るとの見方を示した。
「そういうセンスを持った政治家がいいのか悪いのかは、最終、選挙で判断していただくものになるのかな、というふうに思いますね」
「フランス行くのもいいんですけど...」
前者の研修のあり方については、さらに突っ込んだ。女性局の一行は、現地の「研修」の成果を
「3才からの幼児教育の義務教育化、少子化対策、政治における女性活躍などの課題について、仏国会議員や行政担当者と意見交換させて頂き大変有意義でした」(松川るい参院議員)
「2019年に義務教育を6歳から3歳からに引き下げる大胆な教育改革が行われたとのこと」(今井絵理子参院議員)
と紹介している。玉木氏は、3歳からの義務教育化の記述について
「我々は、とっくの昔に公約に書いてますので、フランス行くのもいいんですけど、国民民主党の政策も、研修で学んでいただきたいなと思っております」
とも指摘した。国民民主は21年の衆院選向けに出した公約集で
「義務教育を3歳からとし、高校までの教育無償化を実現します」
と掲げている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)