国外取材できず「40代後半の5年間を奪われたのは、取り返しのつかない大きな機会損失」
仮に発給された場合「またシリアに行きたいか」という質問には、「非常に微妙な質問。『どこに行きたいか』を見て発給するかしないか、という話をおそらく(外務省は)する」。紛争地に行きたいと明言することは困難な状況だとして、シリアについては
「ビザを取って政府側の地域に行くということは他の旅行者もやっているので、少なくとも、それはしたい」
と話した。
外務省の主張によると、トルコによる入国禁止期間は23年10月に終わるため、その後は旅券が発給される可能性もある。安田さんは、その後も渡航先が制限された旅券しか発給されない可能性があるとみている。その理由を
「日本政府というのが、移動の自由が、人間が基本的に持っている基本的人権だという認識がない。あくまでも外務大臣が裁量で認めた人間にだけ、認めた範囲で海外渡航させてやる、というのが日本政府の認識。その認識が変わらない限りは、死ぬまで制限され続ける可能性がある」
と説明した。入国禁止期間が終わっても13条1項の合憲性を問うために、22年12月には国家賠償訴訟も提起。請求額は550万円。安田さんは記者会見後に改めて取材に応じ、
「40代後半の5年間を奪われたのは、取り返しのつかない大きな機会損失」
だと訴えた。
外相会見でも、この問題が提起されたことがある。提訴から8か月が経過した20年9月のことで、茂木敏充外相(当時)は
「係争中の案件で、外務省としてコメントは差し控えたい」
と答えた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)