原爆を想起させるファンアートに対する、映画「バービー(Barbie)」公式SNSの対応が物議を醸している。
「このようなことが起こって大変申し訳ございません」
同じくアメリカの映画プロデューサーであるジェフ・カッツさんは2023年8月1日、「バービー」とは無関係でありながらこの騒動について謝罪した。カッツさんは、自身が携わった映画「ヴァチカンのエクソシスト」に寄せられたファンアートへの対応がSNSで好評だった。
「アメリカの若者は歴史認識がなく、他人の感情に対して失礼です」
アメリカで7月21日に公開された人気映画「バービー」と「オッペンハイマー(Oppenheimer)」を組み合わせたファンアートが不謹慎と話題になった。前者は同名の着せ替え人形を題材とした作品で、後者は第二次世界大戦中の原子爆弾開発計画「マンハッタン・プロジェクト」でリーダーを務めた物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯を描く伝記映画だ。
SNSでは両作を掛け合わせた造語「#Barbenheimer(バーベンハイマー)」と呼ばれるムーブメントが広がり、笑顔のバービーとともにピンクのきのこ雲をコラージュした画像などが投稿された。こうした画像に対し、映画「バービー」公式ツイッターアカウントが、ウィンクやハートの絵文字などを用いたコメントを送り、物議を醸した。
こうした対応について、日本の配給元であるワーナーブラザースジャパン合同会社は7月31日、ツイッター(現X)で謝罪。アメリカ本国の映画公式ツイッターアカウントの対応について非難し、対応を求めていると発表した。
カッツさんは、ワーナーブラザースジャパンの対応を引用しながらこう述べた。
「このようなことが起こって大変申し訳ございません。アメリカの若者は歴史認識がなく、他人の感情に対して失礼です。私は日本の人々に愛を送り、私は断固として反戦であることを表明したいと思います」
「日本が味わった苦しみは、世界のどこでも二度と繰り返してはなりません」
カッツさんは、日本のプロレスファンで自らも日本語を学び、ツイッターでは英語と日本語で発信している。ツイートはこう続く。
「私は日本の人々に愛を送り、私は断固として反戦であることを表明したいと思います。日本が味わった苦しみは、世界のどこでも二度と繰り返してはなりません。戦争ではなく愛を!」
ファンからは「件の映画とは関係のないお立場なのに気持ちを受け止めていただいたことに感謝です」「日本人の心に寄り添ってくれてありがとうございます」といった声が寄せられた。
カッツさんはファンのコメントに対し、「彼らは間違いを犯しました」「アメリカは今、誰よりも多くの戦争を引き起こしています。私たちは自分自身の愚かなことに対処する必要があります」などの私見を述べている。
カッツさんが携わった「ヴァチカンのエクソシスト」は、日本で14日から公開されている。悪魔祓いをしたとする実在の神父の回顧録「エクソシストは語る」をホラー映画化したもので、ツイッターでは主人公らを描いたファンアートが広まっている。
カッツさんは、これらを自身のアカウントで好意的に取り上げ、映画関係者にも共有。主演のラッセル・クロウさんもファンアートを絶賛し、SNSで話題になった。映画の配給・宣伝を手掛けたソニー・ピクチャーズ エンタテインメントによれば、興行収入も順調に伸びているとのことだ。
このようなことが起こって大変申し訳ございません。アメリカの若者は歴史認識がなく、他人の感情に対して失礼です。私は日本の人々に愛を送り、私は断固として反戦であることを表明したいと思います。日本が味わった苦しみは、世界のどこでも二度と繰り返してはなりません。戦争ではなく愛を! https://t.co/y9D6CdAzxf
— It's Katz (@PodKatz) July 31, 2023