「経験したことがないから不安になる」
民泊だったら、海外の旅行客が泊まってくれる――。そう思った鳩子さんは、少しでも世界との繋がりを持ちたいと考え、自分が使う部屋以外をゲストに貸し出す「家主居住型」という方法で1軒目の民泊を18年に始めた。当時の手取りは約20万円。最初に契約したのは家賃18万5000円の一軒家だった。
――月に1万5000円しか残らないことに何か不安はありましたか。
「民泊は儲かるとは思ったんですけど、いざ日本でやるとなったらどうなるの?という不安はありました。でも、いざとなれば全部やめて実家に帰ろうと思ってました。ダメだったとしても、楽しそうだからやってみようという気持ちもありました」
しかし民泊を実際に始めてみると、立ち上げた月から海外客からの予約が続々と舞い込んできた。鳩子さんは、ゲストと一緒に手巻き寿司を作ったり、地元の夏祭りに行ったり、居酒屋に飲みに行ったりした。
20年に始まった新型コロナウイルス禍で大きな影響を受けたものの、23年7月時点で18軒の民泊を運営している鳩子さん。副業で年収2000万円も稼ぐことができるようになった。22年10月には民泊を立ち上げるコミュニティ「令和の民泊サロン」を主宰し、初心者に民泊のノウハウを伝える活動もしている。
――オンラインサロンではどのような不安が寄せられますか。
「一番大きな悩みは『1軒目が見つからない』というものです。どこでやるか、どのようなやり方でやるか、家賃いくらの物件でやるか、皆さん順番に悩んでいきます。あとは全ての準備が出来たところで『本当にお客さん入ると思いますか』というのも、めちゃくちゃ言われます。『いやもうやるしかないですよ!』と言うしかないですよね(笑)」
――なぜ全ての準備が出来ているのに不安になるのでしょうか。
「私は世界一周で色々な場所に泊まってきたし、日本を訪問する観光客が多いことも知ってるんですね。でも、海外旅行に行ったり民泊に泊まったりしたことがない人は、自分が経験したことがないから不安になるんだろうと思います。だからサロン生には『Airbnbで泊まってみて!』と言ってますね」
島国の日本は海路か空路でしか入国できないため、コロナ禍のような事態になれば宿泊に大きな影響が出るリスクもあると、鳩子さんは指摘する。「だったら何かあった時のために、すぐに撤退できるように『小さく始めましょう』と言うようにしてます」と、リスク管理についても呼びかけているという。