電車に乗る前に片耳にイヤホンをして音楽を流しておくと酔わない――。そんなライフハックがツイッター(現・X)に投稿され、10万件の「いいね」を集めるほど話題になっている。「超有意義な情報」「嘘でしょ?ほんとに?」といった声が寄せられている。
一体どのような原理で乗り物酔いしなくなるのか。J-CASTニュースは、精神科医の安田雄一郎氏に詳しい話を聞いた。
「体の器官が影響を受け...」
話題となっているのは、2023年7月中旬の投稿。酔いやすい体質だというツイッターユーザーが「電車に乗る前から片耳だけにイヤホンをして音楽を流しておくと酔わないと聞き、試したところ全く酔わなかった」との旨のライフハックを紹介した。投稿者は行きと帰りで違う耳で片耳にイヤホンをしたという。乗車の10分前くらいから音楽を聞き、乗車して20分くらいしてから音楽を止めたというが、その後も酔わなかったとする。乗車中、スマートフォンは操作せず目を閉じていたという。
投稿は25日までに約700万回表示されるなど注目を集めた。
ツイートは拡散され、
「超有意義な情報」
「三半規管激弱なので電車ではコレ実践してる。全くではないけれど酔いづらいね」
「プラセボ(偽薬)効果では?」
「嘘でしょ?ほんとに?」
という声があがっている。
乗り物酔いに効果があるのは本当か。25日、取材に応じた精神科医で起立性調節障害改善協会の監修者である安田雄一郎氏は、片耳だけ何かが聞こえるというのは現実的にありえない状況だとし「三半規管含めて体の器官が影響を受け、普段と違う感じ方になったとしても不思議ではありません。とはいえ器官は必ず『回復』するので、時間が経てば元通りとなり、酔ってしまうこともあるかと思います」と説明する。
「個人的には、『暗示』の影響も十分に強いのではと考えます。『この方法をしているから大丈夫』というものですね。実際、偽薬であっても『これは乗り物酔いに効く』と言われて飲むと、実際に乗り物酔いがなくなったという事例はよくあります」
注意点は?
このライフハックのおすすめのやり方を尋ねると「明確に言えませんが、一般的に暗示的な意味では5分程度で十分な効果が見込まれるので、5分以上で良いかと考えます」と回答。
注意点として、片耳だけ音楽が聞こえるという不自然な状況でかえって気分が悪くなる人もいるとし、そうした場合は中止する必要があるという。
他に乗り物酔いを防ぐ方法を聞くと「少しずつ少しずつ乗る時間を増やしていくという手もあります。ただ、その経過自体がつらいこともあるので、それなら一回乗った方がマシ、と思うこともあるかもしれません」と説明した。
「精神状態と乗り物酔いは結構関連していることも多く、すごくワクワクしていたり楽しみだったりすると、乗り物酔いが抑えられる、または気にならなくなることもありえます。 『この方法だと効くのだろうか』という好奇心が生じることもあるので、それが楽しみになって乗り物酔いに効果があるという結果もありえるかと思います」