ファミリービジネスの観点からの問題は
ファミリービジネスの観点からの問題として、近藤教授は「(第三者委員会の調査報告書によると)人事の上げ下げが激しいということだったので、(兼重前社長の)絶対的な権力に従わなければいけなかったというのは調査の結果から明らか。強いリーダーシップは必ずしも悪いものではなく、創業時には実績がないため、うまく企業を経営するためにはカリスマ的な能力が必要になってくる。しかし、その『強すぎるリーダーシップ』は組織の規模の巨大化に伴って、従うしかない状況になったのではないか。人によっては(兼重前社長を)神格化していたのでは」とし、「この調査報告書の事実も踏まえると、そういったことがこの不祥事に繋がってきているように見える。典型的にファミリービジネスの悪い側面だと思う」とした。
ではファミリービジネスの特徴とは。近藤教授は一つ目に「ビジネスを通した社会貢献をする企業が多いこと」を挙げた。「長寿企業の多くは、従業員との関係性や地域との関係など目に見えない資産を大切にしている。自己利益の追求よりも、お客様のために、従業員のために、あるいは地域のためになどという考え方(ファミリー性)を持っている」という。さらに「従業員を大切にしている会社は儲かっているし、業績も上がっているし、長く続いている。それはちゃんとデータをとって検証した結果」とした。
「(ビッグモーターの)調査報告書の最後の方に経営理念があるが、『常にお客様のニーズに合ったクオリティの高い商品、サービス、情報を提供する』とのこと。おそらくそれがファミリーの作り出す価値になってきて、徹底して実践していれば、間違った方向には行かなかったのではと思う」
2つ目の特徴として、所有と経営が一致することにあるという。そのため「会社を私物化していく方向に行けば今回のような不祥事が起こる」とした。