東京都において、コロナ禍でオンライン学習が可能になり、不登校の生徒も授業に参加できるようになったが、現在は出席と認められなくなった――。そんな情報がツイッターに投稿され、議論を呼んでいる。
J-CASTニュースは、東京都教育委員会に見解を尋ねた。
オンライン学習は出席として認められるのか
議論を呼んでいるのは、2023年7月初旬の投稿。あるツイッターユーザーが「コロナ禍では出席と認められていたオンライン授業が、現在は認められないという。元に戻す意味がわからない」との旨の内容で疑問を呈した。
ツイートは拡散され、東京都の対応をめぐって
「オンライン学習と対面学習を両方やれたらいいけどな」
「学校に行くのがしんどい子でも学べる機会を増やしてあげるの必要だと思う」
「オンライン授業、不登校だけじゃなくて入院中の子とかにも良さそうなんですけどどうなんでしょう」
「図工とか体育、理科や家庭科みたいな作業が必要な学習は、オンラインだと十分な学習は難しい」
「社会性を育む場としての役割の比重が大きいんじゃないですかね」
「学校って授業だけじゃなくて、行事の準備とか校舎の清掃とか登校してないと出来ないこともあるのでは?」
といった賛否両論が寄せられている。
コロナ禍において可能になったオンライン学習は、現在出席と認められないのか。
東京都教育庁総務部教育政策課の担当者は12日、取材に対して「高等学校は現在、不登校など理由に関わらず、オンラインで授業を受けてもその授業が出席扱いになることはないです」と回答。
出欠席や単位履修については、文部科学省の規程に則って決めているという。
義務教育と高等学校の違いはあるが、前者は学校の判断で出席扱いにすることもある一方、後者はコロナ禍においても、オンライン授業は出席として認められていなかった。しかし、欠席にカウントされることもないという。これは、インフルエンザなど指定された感染症に罹り、出席停止になる場合と同様、出席を要する日として母数にカウントしないものである。
学びを止めない準備として「オンライン学習デー」を実施
不登校状態の子どもは、小・中学校においては、自治体や校長の判断で、オンライン学習で学んでいれば出席扱いになることもあるという。
東京都教育委員会では2023年度から、自宅などから授業を受けるオンライン学習訓練「都立学校オンライン学習デー」を実施している。
担当者によると、学校にオンライン学習デーを1年に1回行うよう通達している。
高等学校でオンライン学習デーを実施した場合は、行事と同じ扱いになるため、学校に来たことにはなっているが、授業の出席としてはカウントされないという。
不登校の子どもたちの支援ではなく、あくまでも、新型コロナウイルスや災害などが起き子どもや教員が学校に登校できない事態を想定し、学びを止めない準備をする防災訓練に近いという。
子どもたちは1人1台タブレット端末またはノートパソコンを持っているとする。
都立高校生は端末を1年生から順に増やしている最中で、現在2年生まで持っているという。
入院している子や不登校の子の扱いはどうなる?
教育庁指導部に13日、入院などの事情で授業に対面参加はできないもののオンラインで参加したい子どもの扱いについて尋ねると「病気で療養中の生徒に関しては、文科省の方で動きがあります」とした。
2023年3月30日に文科省が「小・中学校等における病気療養児に対するICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」という通知を出した。病気に罹り入院している子については、教育機会の保障として、オンデマンド型、インターネットのメディアを活用した配信で生徒が視聴した授業を各学校の校長が出席認定できるという。
不登校の子の扱いについて尋ねると、文科省初等中等教育局が2023年3月31日に「児童生徒が不登校になった場合でも、小・中・高等学校等を通じて、学びたいと思った際に多様な学びにつながる」ことを目的に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)を通知していることから「全く何もしないという状況ではないのだろうなと思います」という。