カップタイプの「ガリガリ君」について、緩和ケア医療従事者が求めていたものだとする投稿がツイッター(現・X)上で話題となっている。投稿によると、食べやすさや介助しやすさにおいて「完璧」という。J-CASTニュースは2023年7月28日、投稿者で緩和ケア病棟に勤務する「ナースの大森ちゃん」さんに、どのような点が緩和ケア食として優れているか話を聞いた。製造元の赤城乳業(埼玉県深谷市)は反響に対し「さまざまな立場の方にとって、ガリガリ君が貴重な存在となれていることを大変光栄に感じています」としている。
「緩和ケア医療者がずっと求めてた」
大森ちゃんさんは27日にツイッターで
「何...だと...?ガリガリ君に給食用ミニカップ?えっこれ緩和ケア医療者がずっと求めてたやつやん?ガリガリ君でこの量(60ml)で1個食べれた満足感食べやすさ介助しやすさ保存しやすさ...全部完璧なんだけど!知らなかった...これは病院に置きたい
(普通のは105ml、ファミリーサイズは63mlだったよ)」
と投稿。8000以上リツイートされ、「スーパーとかで手軽に買えるようになってほしいです」「これうちの病院使ってます...!」「悪阻のときの妊婦さんにも良さそう」などのコメントが寄せられた。
大森ちゃんさんは緩和ケア病棟で看護師として、主にがん患者やその家族などをケアしている。ガリガリ君カップの存在については、インスタグラムでたまたま見つけたという。
大森ちゃんさんによると、ガリガリ君自体の食べやすさは、緩和ケア医の廣橋猛氏が2022年11月22日に「体力が弱って飲み込みが悪くなり、食事が難しい終末期の患者にとって、救いの神」として紹介したことで話題となった。
赤城乳業も取材に対し「カップ商品に限らず、ガリガリ君全般として『冷たくてさっぱりしている』『かき氷が少しずつ口の中で溶けるのでむせにくく、飲み込みやすい』などを理由に、緩和医療の現場で役に立っているという声は以前からいただいておりました。2019年に日本緩和医療学会よりガリガリ君へ感謝状をいただいております」と、以前から緩和ケア患者への食事として評価する声があったとした。
食べやすさ、介助しやすさ、量......ガリガリ君カップが緩和ケア患者にぴったりな理由
カップが緩和ケア患者にとって良い理由について、大森ちゃんさんは「このミニカップは量が少ないので『1個食べられた満足感』は食欲がない患者さんやそのご家族にとって大きいと思います。とくに終末期の患者さんご家族にとって『食べられた』ということは非常に大きく大切なことです。そして、食べるスピードがゆっくりの方ですと食べている間に溶けて棒から落ちてしまいます」とした。量については「病気などで身体の弱っている方にはガリガリ君1本は大きい」とし、60mlのカップがちょうどよいという。
介助する側にとってのメリットは、袋に入っている通常のガリガリ君はスプーンなどで細かくする必要があるが、ガリガリ君カップはその作業が必要なく、すぐに適量を食べさせられる点にあるという。大森ちゃんさんは「袋タイプだと袋から出してスプーン等で小さくしている間に溶けてきますし、大きさも不均等になります。袋の上からもんで細かくするのも溶けてきますし、残ったガリガリ君は見た目にも美味しさが減ってしまいます。その点カップですと冷凍庫から出してすぐにその方の一口サイズにあった量でシャリシャリのままお口に運べます」と説明。
「看護師は常に時間やケアに追われていますので、冷凍庫から出してすぐに介助できるのは、看護師にとっても時間とこころに余裕を持ってお手伝いができると思います」と補足した。
さらに「これは病院によりますが、病棟の冷凍庫スペースには限りがありますので、小さいカップは場所を取らないし整理整頓もしやすいです」と、保存のしやすさについても説明した。
赤城乳業は「大変光栄」
ガリガリ君カップについて、赤城乳業は「市販品以外の商品案を検討する中で『学校給食のデザートとしてアイス(ガリガリ君)が出たら喜ばれるのではないか』との発想から商品化を検討。給食用デザートの製造実績のある協力工場にて、2012年頃から製造・販売しております。学校・幼稚園、高齢者施設、病院を含めた給食用の商品として取り扱っております」と説明した。味はソーダとぶどうの2種類。今のところ市販する予定はないという。
今回ガリガリ君カップが話題となったことについては「さまざまな立場の方にとって、ガリガリ君が貴重な存在となれていることを大変光栄に感じています」とした。