広島が2023年7月27日のヤクルト戦(マツダ)で4-1と快勝し、破竹の10連勝。最大9ゲーム差をひっくり返し、4月17日以来の首位に浮上した。
「これからも大事な場面で頼むぞ」
西川龍馬が右脇腹肉離れ、マクブルームが打撃不振で登録抹消され、菊地涼介も左脇腹の張りで欠場と主力がそろわない中で、日替わりヒーローが誕生している。この日の主役は会沢翼だった。成長著しい坂倉将吾が正捕手を務めるため、出番は決して多くないが存在感が光る。女房役として床田寛樹を8回途中まで1失点の好リードに導くと、バットでも魅せた。5回無死二塁から中堅適時打で先制点をうみだすと、同点で迎えた7回1死三角のスライダーをしぶとく中前に落とす決勝打。攻守で勝利に大きく貢献した。
新井貴浩監督の采配も光る。3点リードの9回に栗林良吏を起用。前日の同戦で青木宣親に危険球退場でマウンドを降りたため精神面が気がかりだったが、先頭打者の宮本丈を3ボールからフルカウントに整えて、最速152キロの直球で三ゴロに仕留めると、村上宗隆を129キロカーブで三ゴロ、オスナも151キロ直球で二飛に抑えた。
スポーツ紙デスクは、「新守護神の矢崎拓也でなく、栗林をあの場面で起用したことに驚きました。青木のことは心配ですが、栗林に『これからも大事な場面で頼むぞ』という新井監督のメッセージが込められていたように感じます。栗林も登板前は不安があったと思いますが、三者凡退に抑えて期待に応えた。広島にとってただの1勝ではなく、大きな白星だと思います」と新井采配を絶賛した。
この強さは一過性の勢いではない。広島がこのまま突っ走るか。(中町顕吾)