北方領土問題の啓発にあたっている独立行政法人・北方領土問題対策協会(北対協)が運営しているマスコットキャラクターのツイートが、インターネット上をざわつかせている。
啓発施設「北方館」(北海道根室市)の近くにエゾシカが出没したことを知らせる内容だが、ツイートでは「エゾシカさんたちも『北方領土返還!』と話していたぜ!」。とがりすぎた情報発信に困惑気味の声も出ている。
「北方館にエゾシカが週に1~2回の頻度で遊びに来てるピピィ」
北対協では、海鳥「エトピリカ」をモチーフにした「エリカちゃん」を北方領土のイメージキャラクターとして設定。そのボーイフレンド「エリオくん」のアカウントが特徴的だと評判だ。
普段は北方領土に関するクイズや、北海道から見える北方領土の景色などを投稿し、語尾に「だぜ!」が多いのが特徴だ。特に波紋を広げているのが、7月20日付けのツイートだ。
「北方館にエゾシカが週に1~2回の頻度で遊びに来てるピピィ エゾシカさんたちも『北方領土返還!』と話していたぜ!」
という内容で、1300回以上リツイートされ、2400回以上「いいね!」がついた。北方館は、国後島や歯舞群島が見渡せる納沙布岬(根室市)にある。
このツイートには専門家も困惑気味だ。朝日新聞の元モスクワ特派員で論説委員の駒木明義氏は、引用リツイートで
「空耳では?」
と一言。東大先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠さん(現在のツイッター名は「恒星間飛行」)は、さらに引用リツイートで
「エリオくん、完全に何か変なものをキメてしまっているのでは...」
と突っ込んだ。
「若年層にも興味を持ってもらえるように、新しい風を吹かせたい」
北対協の担当者は24日、取材に対し、こういった情報発信の狙いを次のように説明している。
「北対協には、北方領土返還要求運動を盛り上げ、政府が行っている外交交渉を下支えする役割がある。元島民の高齢化や返還要求運動の担い手の減少という状況の中、返還要求運動を盛り上げるには若年層の力が必要である。SNSを通じて情報発信することで、若年層にも興味を持ってもらえるように、新しい風を吹かせたいと考えている」
今回のツイートに寄せられた反響については「反応していただくことが非常に大事」。その上で
「北対協が行っているSNSを知ってもらい、それを通じて北対協の活動を知っていただくことが大事で、その意味では、今回はさまざまな反応をいただくことができた」
とも話し、比較的前向きに受け止めている様子だった。気になるのが「中の人」の素性だが、
「エリオくんと編集会議をして(ツイートの内容を)決めている」
と説明している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
#北方館 にエゾシカが
— 北方領土エリオくん (@hoppou_erio) July 20, 2023
週に1~2回の頻度で遊びに来てるピピィ✨
エゾシカさんたちも「北方領土返還!」と
話していたぜ!#北方領土 #北方四島 pic.twitter.com/9sbJ7YEk1U