「大手マスコミは私の声を無視するかもしれない」 共同通信の元記者が会社提訴...特派員協会で会見した理由

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   いじめ事件で取材した内容を書籍にまとめて出版したことをめぐる共同通信社の対応で表現の自由や財産権を侵害されたとして、共同通信元記者の石川陽一氏が2023年7月24日、共同側に550万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

   提訴後に記者会見した石川氏は「言論の自由を守り、報道機関のあり方を世に問うことこそが、今回の訴訟の目的」などと訴えた。提訴後の記者会見は東京・霞が関の東京高裁内にある司法記者クラブで行われることが多いが、石川氏は丸の内の日本外国特派員協会を選んだ。司法記者クラブや内幸町の日本記者クラブでは「いわゆる大手のマスコミは私の声を無視するかもしれないと考えた」ためだ。

  • 日本外国特派員協会で記者会見する共同通信元記者の石川陽一氏(左)と喜田村洋一弁護士(右)
    日本外国特派員協会で記者会見する共同通信元記者の石川陽一氏(左)と喜田村洋一弁護士(右)
  • 記者会見は通常よりも狭いスペースで開かれた
    記者会見は通常よりも狭いスペースで開かれた
  • 日本外国特派員協会で記者会見する共同通信元記者の石川陽一氏(左)と喜田村洋一弁護士(右)
  • 記者会見は通常よりも狭いスペースで開かれた

著書で長崎新聞を批判したことが問題に

   提訴は、長崎市の私立海星高2年の男子生徒=当時(16)=が17年4月に自殺したことに端を発する。学校側は遺族に対して自殺ではなく「突然死」にすることを提案。後に遺族の求めに応じる形で第三者委員会が発足し、「いじめが主な要因」とする報告書をまとめたが、学校側は受け入れを拒否している。

   後に県側が「突然死」の提案を追認していたことが明らかになり、石川氏は一連の経緯を出稿。共同は20年11月17日に「自殺を『突然死』に偽装 県追認、国指針違反の疑い」の見出しで配信し、加盟社15社以上が掲載した。ただ、地元の長崎新聞は共同原稿を掲載しなかった。県は11月18日に記者会見を開いて事案を謝罪。翌11月19日に「学校の『突然死』提案 県担当者が追認発言」(朝日新聞)などと各社が後追いする形で報じたが、長崎新聞は「『突然死』追認報道 県は『積極的』否定」の見出しで、逆に共同に否定的な記事を掲載した。

   石川氏は経緯を22年11月に著書「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」(文藝春秋)にまとめて出版。その中で長崎新聞を批判したことが問題になった。石川氏によると、22年8月に共同から出版の許可を得ていたが、長崎新聞が書籍の内容に抗議。23年1月に総務局長名義で「社外活動(外部執筆)の了解取り消しの通知」が石川氏のもとに送られてきたという。

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