YOASOBI「アイドル」ヒットの裏にUGC? 二次創作を下支え、米津玄師も使う「ピアプロ」の功績

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ピアプロは「日本の二次創作カルチャーを下支えしている」

   初期のピアプロはクリプトンのバーチャルシンガーを中心としたコンテンツ投稿サイトだったが、投稿可能な他社キャラクターやファンが創作したキャラクターも増えた。水野さんは「現在では初音ミクだけでなく二次創作作品を広く扱うプラットフォームとして機能しており、日本の二次創作カルチャーを下支えしているように思います」と述べる。

   ピアプロの利用は、ファンやクリエイターにとってどのようなメリットがあるのか。水野さんはこう述べる。

「別にオープンなライセンスをわざわざつけなくても、良くも悪くもTikTokやYouTube等でファンは勝手に二次創作をしていってしまう現状もあります。
しかし、このようなコンテンツはあくまで放置されているだけで適法なコンテンツとは言い切れない面がどうしても残ってしまうものも多いです。中には行き過ぎた二次創作がなされたり、線引きが難しいフリーライド行為もあり、アーティスト側は営利目的での利用と非営利目的でのファン創作の健全な両立に心を砕いています。
そのようななかで、オープンなライセンスをつけて公開する、という一手間を加えることで、アーティスト側はNGなラインを示しつつ、ファン創作を積極的に許容していく姿勢を見せることができます」

   YOASOBIは新曲をリリースするたびにインストをピアプロに公開し、ファンはそれを用いて積極的に「歌ってみた」を公開する。YOASOBIが公式SNSでファンに対して感想を述べたりUGCを紹介したりすることもある。

   水野さんは「YOASOBI、特に楽曲を制作されているAyaseさんがピアプロ・ライセンスを付与してインスト楽曲を公開しているのは、自らの出自や原点であるボカロPとしての矜持を示すことや、YOASOBIなりの二次創作カルチャーに対する恩返しという意味合いが大きいのではないか」と推察する。

「YOASOBIやAyaseさんがライセンスという形でそのような意識を示し続けてくれていることはヒットを生み出すという観点からも興味深いことですが、それだけでなく、二次創作という文化をつないでいくという観点からも重要なことだと思います」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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