Ayase、米津玄師、Eveも「ピアプロ」ユーザー
「ピアプロ」は、ボーカロイド「初音ミク」を発売したことなどで知られるクリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)が運営している。当初は初音ミクなどボーカロイドに関連する作品を扱うサイトだった。
ボーカロイドを用いて制作された楽曲の多くはミュージックビデオ付きで投稿される。ピアプロは、楽曲を作る人、演奏を担当する人、イラストを描く人などを繋ぐツールの1つとして、界隈の盛り上がりに貢献した。
商業デビューするクリエイターも現れた。「YOASOBI」の作詞担当であるAyaseさんや、米津玄師さんやEveさんも、ボーカロイドで楽曲を制作する「ボカロP」として知られている。3人ともピアプロにも各楽曲を公開していた。
しかしデビュー後の作品の著作権はJASRACなどの著作権等管理団体に管理を委託されていることが多く、作者本人であっても自作品を投稿できない状態だった。ピアプロには他のユーザーが作品を自由に利用できるという意思表示(ライセンス)を付与する機能があるため、投稿者は作品の完全な著作権を有している必要がある。
この状況を打破するためクリプトンは21年10月、JASRACと括的利用許諾契約を結んだと発表した。同じく管理団体のNexToneとも協議したと明らかにしている。これにより、JASRACが著作権を管理している音楽作品についても、アーティストやユーザーが個別に許諾をとる手続きなしにピアプロに作品を投稿できるようになった。
「このようなJASRACやNexToneと包括契約がない場合、JASRACやNexToneに著作権の管理を委託しているクリエイターは自らが作曲したり、作詞したりした本人であっても、ピアプロに投稿できませんでした。しかし、そのようなクリエイターでも、二次創作カルチャーが大好きで、非営利目的での作品利用の場としては引き続きピアプロを利用したいという希望や、ファンとしてもそのようなクリエイターの音楽作品の二次創作をしたいという希望がありました。 ピアプロのJASRACやNexToneとの包括契約は、JASRACやNexToneが『インターネット上の音楽利用』に関する著作権を管理している音楽作品をピアプロに投稿できるようにするもので、クリエイターとユーザー双方の要請をみたすwin-winの仕組みを実現したものといえます」(水野さん)