韓国プロサッカーリーグで発生した「顔面殴打」騒動が物議を醸している。複数の地元メディアが2023年7月19日に報じた。
報道によると、7月12日に行われたKリーグの仁川ユナイテッド対蔚山現代戦で問題の行為が起こった。後半3分過ぎに蔚山現代MFイ・ギュソンが、マークを受けていた仁川ユナイテッドDFムン・ジファンの顔面を殴打。ムンはそのままピッチに倒れこんだが、主審はイの行為を見過ごしたという。
「主審・VAR・協会審判委の無責任三拍子」
Kリーグを管轄する韓国プロサッカー連盟の競技評価会は、イの行為を問題視して韓国サッカー協会(KFA)に質疑したが、KFAは「反則性のあるプレーではあるものの一発退場になるほどのラフプレーではない」として不問に付した。
報じられたKFA関係者の話によると、KFA審判委員会はイが腕を振るった角度とスピードを分析した結果、殴打というよりも「押す」行為に近いと判断したという。
地元スポーツメディア「スポーツソウル」(WEB版)は、「イ・ギュソンのように殴っても退場なし、懲戒なし...主審・VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)・協会審判委の無責任三拍子、KリーグをUFC(総合格闘技)にするのか」とのタイトルで記事を公開し、審判と協会の姿勢を猛烈に批判した。
同メディアによると、イの行為がインターネットの動画で拡散されるとサッカーファンから批判する声が上がり、蔚山現代のファンもほとんど擁護することなく冷たい視線を向けているという。
記事ではKリーグ関係者のコメントを紹介しており、あるチーム関係者は「これが退場でなければ一体何が退場になるのか分からない。主審、VAR、そしてあのような説明をした協会は恥ずかしくないのか。我々のチームのことではないが本当に腹が立つ」と怒りを示したという。
15年には試合中に相手選手の顔面を故意に殴打した選手が、韓国プロサッカー連盟から6試合の出場停止と600万ウォン(約60万円)の罰金を科された。このような前例から、サッカー界ではイが懲戒処分を受けないのは「話にならない」という見方が大半だという。
そして同メディアは、同様の殴打行為が起こる可能性は低いものの、イのように相手選手を殴打してもレッドカードを出すことは出来ないと指摘し、KFAの決定はKリーグをUFCの舞台に変えてしまったとした。