5歳児が富士山挑戦→体調崩し救助要請 「泣きながら登るの見たことも...」環境省が明かす親子登山の実情&リスク

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   富士山を登っていた5歳の子供が胸の痛みなどを訴えたとして、母親が救助要請したとニュースで報じられ、ネット上で驚く声が上がっている。

   その後に体調が回復し、山小屋に寄ってから下山したという。5歳での登山はどうなのか、国立公園を管理する環境省の担当者に話を聞いた。

  • 富士宮ルート7合目と8合目の間の登山道
    富士宮ルート7合目と8合目の間の登山道
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「下に降りて来て治ったため、高山病にかかった可能性」

   「5歳の息子が胸の痛みを訴えていて嘔吐している」。静岡県富士宮市消防本部の指令センターによると、3連休最終日の2023年7月17日午前7時5分ごろ、母親からこんな119番通報が入った。

   県警の発表や報道によると、母親は、富士宮ルートの新7合目(標高2780メートル)付近で、救助要請をした。県警の山岳遭難救助隊員4人が現地に向かい、9時40分ごろに近くの山小屋にいた母親らと合流し、5合目(同2400メートル)まで子供を搬送した。そして、10時45分ごろに救急隊に引き継いだが、消防本部によると、子供が元気になったため、搬送せずに母親らと帰宅したという。

   母親は、中1の娘と小2の息子も一緒に子供3人を連れて登山していた。

   消防本部では、「子供は、下に降りて来て治っていますので、高山病にかかった可能性があると思います」と話した。

   ネットニュースのコメント欄などでは、5歳の子供が富士山を登ったことに驚く声が出ると同時に、無謀な登山だったのではないかとの指摘も出ていた。

   過去の報道では、登山ガイドの4、5歳の娘や息子が親と富士山に登ったケースがあった。ただ、1年間練習したり、登りながら血中酸素を測定したり、慎重に登ったと報告されている。また、富士山登山は小学生からが好ましく、できれば高学年がいいとの指摘もガイドらから出ていた。

   5歳での登山について、富士登山オフィシャルサイトを運営する環境省の富士五湖管理官事務所の担当者は19日、J-CASTニュースの取材に対し、次のような見解を示した。

「行事で登る幼稚園はあるが、順応できない恐れもある」

「レアなケースですが、東京の幼稚園では、富士山の頂上まで行事で登るところもあります。大変なことではありますが、登れないわけではありません。子供は意思を口で伝えるのが難しいので、大人がうまくコントロールして、様子を見ながら無理しないよう登っているということだと思います」

   子供は、まだ心肺機能も弱いだけに、リスクもあるようだ。

「急いで登ったりすれば、順応できずに高山病になる恐れがあります。子供が先に行ってしまったり、しんどくて泣きながら登ったりするのを見たこともあります。ご来光を見るために夜中に登れば、子供に楽しい体験でなくなります。そもそも、子供が飽きずに10時間も登り続けるのはかなり大変でしょう」

   ただ、富士山登山に年齢制限はなく、何歳以上から大丈夫などと線引きするのも難しいとした。

「医学や登山の専門家ではないので目安は設けていませんが、親が連れて行きたいだけで来ていただきたくないと思っています。何歳から登れるのか、登山ガイドの方などに伺うのがいいでしょう」

   今回の救助要請については、下りてから治っていることから、高山病の可能性が大きいとみている。子供3人を連れて登ったことについては、「一番体力が弱い子供に合わせて歩くため、他の子供が先に行って迷子になることも想定されます。目を配るのも大変だと思います」としたが、親子にどのような経験があったかなどが分からないので、判断は難しいとした。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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