洗濯板、「溝に擦り付け」実は間違い? 専門家に聞いた使い方&現在の進化

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   2023年7月17日、ツイッター上で「今まで洗濯板はギザギザの溝に洗濯物を擦り付けて洗うのだと思っていたが、洗濯板の上で両手を使って洗濯物同士を擦り合わせて洗うのが正しいようだ」という旨の投稿が話題になった。そこでJ-CASTニュースは、昭和の生活用品などを展示する「金沢くらしの博物館」(石川県金沢市)に見解を聞いた。

  • 金沢くらしの博物館提供
    金沢くらしの博物館提供
  • KEYUCA「AST両面使える洗濯板 ホワイト」(KEYUCA公式ホームページより)
    KEYUCA「AST両面使える洗濯板 ホワイト」(KEYUCA公式ホームページより)
  • 金沢くらしの博物館提供
  • KEYUCA「AST両面使える洗濯板 ホワイト」(KEYUCA公式ホームページより)

「左手で洗濯物を押さえて伸ばし...」

   投稿者は、溝は洗濯物が滑り落ちないようにする目的と、洗剤が溶け込んだ水が溜まりやすくする目的で付けられているとした。続けて、漫画で洗濯板を使っているシーンを切り取った画像も投稿。いずれも両手を洗濯板の上に置いている様子が描かれていた。

   リプライや引用リツイートには、「ギザギザの所で擦ると思ってた」「大根おろしみたくするんじゃないのか」「こすりつけるも間違いではないはず」など、感想や洗濯板の使い方についての意見が寄せられている。

   金沢くらしの博物館の学芸員は19日、取材に「洗濯板は靴下や肌着などの汚れがひどい箇所に対してピンポイントで使うもので、左手で洗濯物を押さえて伸ばし、右手で洗濯板に擦りつけて使われていたようです。たらいの中には洗濯液があり、それを洗濯物に含ませて洗いますが、汚れが落ちない場合は直接石鹸を擦り付けることもありました」と説明する。洗濯板でたくさんの洗濯物を一度に洗っていたのではなく、洗濯板を使うと傷んでしまう素材のものは押し洗いをしていたという。

洗濯板の今と昔は

   学芸員は洗濯板について「明治時代に外国から入ってきて使われるようになりました。元々でこぼこの溝はついておらず、現在よく見る洗濯板は、日本で使われるうちに洗濯液がたまりやすいよう改良されたものです」とする。洗濯板が入ってくる前の江戸時代は「石に洗濯物を置き、木槌で叩いて洗っていました」と補足した。

   ツイートには「子どもの頃から体操着や靴下は洗濯板で手洗いしてから洗濯機に入れるよう教えられていた」「弟の野球のユニフォームや靴下を洗濯板で洗っていた」との声も見られる。学芸員は「洗濯物が傷みにくい柔らかい素材のものや小型のものなど、洗濯板は現在も改良が重ねられ、一部では重宝されています。柔らかい素材の洗濯板は靴下の裏の汚れを落とすのに便利で、個人的に使っています」とした。

   現在、ニトリや無印良品、KEYUCAなどでも洗濯板を扱っているほか、たらいと一体型のものや表面が特殊繊維になっており洗濯物を傷めにくくなっているものなど、様々な商品が発売されている。

姉妹サイト