板門店で無断越境したのは米兵だった 第2の「ジェンキンス事件」で米朝の火種に

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5年ぶりに米国人拘束、解放のハードルは当時より高い?

   板門店では、17年に北朝鮮兵士が軍事境界線を越えて韓国に亡命した事例がある。一方で、朝鮮日報によると、米国人による「板門店越北」は初めてだ。在韓米軍所属の兵士が、南北を隔てる非武装地帯(DMZ)を超えて北朝鮮に渡るのは、1965年1月5日、夜間パトロール中に脱走したジェンキンス氏以来58年ぶりだ。

   米国人が北朝鮮に拘束されるのは、中国経由で北朝鮮に不法入国したとして拘束されたブルース・バイロン・ローランス氏以来、約5年ぶり。ローランス氏は18年10月に中朝国境を渡って北朝鮮に不法入国したとして拘束され、同11月に「追放」されていた。

   これに先立つ18年5月には、ポンペオ国務長官(当時)が訪朝し、拘束されていたキム・ドンチョル、キム・サンドク、キム・ハクソンの3氏を連れて帰国した。3人の解放は、18年6月に初めて行われることになる米朝首脳会談に向けて米朝関係が改善していたことが背景にあると考えられている。だが、19年2月に行われた2回目の首脳会談では非核化をめぐる交渉が決裂。21年には米政権がトランプ氏からバイデン氏に移行し、米朝関係は膠着状態が続いている。

   ワシントン・ポストは、こういった経緯を

「北朝鮮と米国の関係がすでに不安定になっている最中の外交的緊急事態」

だと指摘している。

   58年前に北朝鮮に渡ったジェンキンス氏は、国策映画に出演させられた経緯がある。5年前に比べて解放に向けた交渉が困難になるとみられる上、キング氏が対米・対南宣伝に登場する可能性もあり、米軍としては対応に苦慮することになりそうだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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