中古車販売大手のビッグモーター(東京都港区)は2023年7月18日、損害保険会社に保険金を不正請求した問題について「多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」と公式サイトで謝罪した。問題が起こった原因について「経営陣に盲従し、付度する歪な企業風土」などを挙げ、再発防止に努めると述べている。
問題の原因に「現場の声を拾い上げようとする意識の欠如」など
発表によるとビッグモーターは、外部専門家から構成された特別調査委員会による調査報告を受け、同社の板金部門が損害保険会社に保険金を不正請求したことを事実だと認めた。
同社は「損傷の作出」「損傷の存在や範囲を誤認させる写真撮影」「実際に施工された修理と異なる内容での協定見積り作成」などの不適切行為があったと報告。調査を継続して行っていくとし、早期の全容解明に努めると述べた。
不適切行為が認められた保険金請求について、同社は「引き続き速やかにお客様にご連絡させていただき、再修理及び返金を行ってまいります」としている。
発表で明かされた特別調査委員会の指摘によれば、問題の原因として(1)不合理な目標値設定(2)コーポレートガバナンスの機能不全とコンプライアンス意識の鈍麻(3)経営陣に盲従し、付度する歪な企業風土(4)現場の声を拾い上げようとする意識の欠如(5)人材の育成不足――という点があるという。
同社は再発防止策として(1)適正な営業目標の設定(2)リスクマネジメントを実行的に行うための内部統制体制の整備(3)企業風土改革(4)現場の声を拾い上げる仕組みの構築(5)従業員教育の強化――を行っていくと方針を示している。
上記の防止策について、同社は詳しい説明を加えている。例えば「企業風土改革」については以下のように述べる。
「経営陣は『不条理な上命下服を強いる』と指摘を受けた企業風土を深く反省するとともに、現場との対話の機会を創出して、企業理念や適正な営業目標の理解や得心を通じて、顧客第一の企業風土の醸成に努めます」
同社は、代表取締役社長の報酬100%を1年間返上、取締役副社長の報酬50%を3か月返上するなど経営責任の方針も示した。
「顧客満足を第一に考える」という原点に立ち返ると宣言した同社は、全社で再発防止策を実践するとし、「信頼回復に向けて不断の努力を行うことをお約束します」とした。