秋田豪雨取材で乗ったタクシー冠水、コンビニで一夜 「Mr.サンデー」に批判...フジ「意識を高めてまいります」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   フジテレビ系の情報番組「Mr.サンデー」が特集した秋田豪雨被害で、取材班が乗ったタクシーが道路の冠水で水浸しになる映像が流れ、地元に迷惑をかけないでほしいと疑問の声がインターネット上で相次いでいる。

   取材班が空港から宿泊先のホテルに向かう中でのハプニングだった。フジテレビの企業広報部は、「災害取材には細心の注意を払っております」としたうえで、「想定を超えた事態にも対処できるよう、意識を高めてまいります」と釈明した。

  • フジテレビ
    フジテレビ
  • 大雨で冠水した秋田市内の道路(写真:毎日新聞社/アフロ)
    大雨で冠水した秋田市内の道路(写真:毎日新聞社/アフロ)
  • フジテレビ
  • 大雨で冠水した秋田市内の道路(写真:毎日新聞社/アフロ)

「予測できない急激な冠水にプロのドライバーも困惑」

   活発な梅雨前線の影響で、2023年7月15日は、秋田市内で観測史上最大の降水量になり、平年の1か月分をも上回った。複数の河川が氾濫し、道路は冠水して、車の立ち往生が相次ぎ、県内では、水没車で1人が死亡したとその後に報じられた。

   16日夜放送の「Mr.サンデー」では、記録的な大雨による市内の冠水被害を特集し、その中で、15日22時ごろに取材班が遭遇したハプニングを紹介した。

   番組では、道路が少し冠水している状況をタクシーの車内から映し、男性ディレクターが「雨は収まっているんですけど、この辺りの冠水は、まだ全然水が引いていないですね」とリポートした。

   「通行止」の看板も映され、その指示通りに迂回することになったとした。ところが、どんどん水が上がって来たといい、タクシーの男性運転手が「非常に危険ですね」と明かし、ディレクターが「避難しましょう」と応じた。水位の急激な上昇で、タクシーのエンジンが停止し、「予測できない急激な冠水にプロのドライバーも困惑」とナレーションが流れた。

   運転手は、タクシー会社との連絡で「腰まで水来た」と報告し、タクシーがタイヤの上ぐらいまで水に浸かった映像が流れた。その後、取材班と運転手は、車内から脱出したとし、ケガはなかったとテロップで紹介された。

   続いて、ディレクターらが足を水に浸かりながら歩く様子が映され、23時ごろに近くのコンビニに着いたと報告された。そして、店の許可を得て、イートインコーナーで一夜を明かし、さらなる難を逃れたという。

   この放送後、ツイッターでは、番組の取材について、地元の迷惑になるのではないかとの指摘が寄せられた。

「災害取材には細心の注意を払っておりますが...」

   これらの投稿は、多くの「いいね」が押されており、「一般の民間人を巻き込む危険な取材」「これ放送しちゃうのやばいな」「いい加減こういう報道、やめないか?」などと、フジテレビの危機管理に疑問を投げかける声が相次いでいる。

   タクシー会社でつくる秋田県ハイヤー協会の担当者は7月18日、J-CASTニュースの取材に対し、番組側がタクシーを利用した15日は、車の水没が相次いだことから、早ければ18時ごろ、遅くても21時ごろには、タクシー会社が営業を止めていたと明かした。

   番組の取材班がいつ空港からタクシーに乗ったのかは不明で、協会担当者は、こう話した。

「恐らく、そのタクシー会社は営業していたので、取材班の方が乗られたのでしょう。無理な運転をお願いされたといった情報は聞いていません。テレビ局に非があるかどうかは、判断しかねます。運転手は、走り慣れた道なので大丈夫だと思って走ったのかもしれません。こんな冠水被害は、初めての経験ですので、危険だとの判断がなかなか難しかったのだと思います」

   秋田市内の道路冠水で、協会のタクシーは、18日昼過ぎまでに19台の水没が分かった。他に2台が、車庫に戻った後に電気系統に入った水の影響で運行不能となったという。水没した車両は、ほぼ廃車になるといい、今後はタクシーの配車に問題が出てくる恐れがあるとしている。番組が利用したタクシーが水没して廃車になったかどうかなどの情報は入っていないという。

   番組のタクシー利用などが適切だったのかについて、フジテレビの企業広報部は18日、取材に対し、次のようにコメントした。

「取材の詳細についてはお答えしていませんが、最寄り駅から宿泊先に移動中、タクシーが急な冠水に遭遇し、その模様を撮影したものです。タクシーが動かなくなったため、コンビニエンスストアのご厚意で、水がひくまで待機場所を提供していただきました。災害取材には細心の注意を払っておりますが、想定を超えた事態にも対処できるよう、意識を高めてまいります」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

姉妹サイト