「盗撮は、アスリートが対応するべきことではなく、観衆のマナー・モラルの問題です」
酒井さんに、盗撮の懸念を踏まえて露出の多いユニホームをどう思うか尋ねると「アスリートにとって大会は〝自分を表現する舞台〟です。自分が着用したい形のユニホームを着て、堂々とパフォーマンスを発揮していただきたい」と前置きした上で、次のように述べる。
「盗撮は、アスリートが対応するべきことではなく、観衆のマナー・モラルの問題です。アスリートに余計な不安をかけさせないためにも大会主催者側がアスリートをしっかりと守る対策を施すべきではないでしょうか。
肌の露出はともかく、身体にフィットしたユニホームはアスリートの魅力(機能美)を引き出すアイテムです。
個人的にはただ速いだけでなく、男女とも〝美しい姿〟を観たいなと思っています」
ミズノにも見解を求めると、次のように答えた。
「露出の多いウエアを着用することに対する思いは個人差があります。気にしている人の中で多いのは、ショーツ型のパンツです。大きく足を上げたりする動きの中で、臀部の生地がめくれ上がることがあります。それを気にしている人はショートタイツ型を選択されていますが、チームで決まっているとなかなか別のものが履けないので、学校側でも選択肢を増やしてあげることが必要かと思います。スタート時にトップスの胸の隙間が空いてしまう事も懸念事項としてはありますので、そこも注意ポイントかと思います」
メーカーとしての盗撮対策については
「現場の声を吸い上げ、露出を少なくしても動きやすいウエアの開発を進めています。また、赤外線撮影の対策としては、赤外線でも透けにくい生地を開発しているところです」
と説明した。赤外線カメラを使用し選手の性的部位を撮影する盗撮もある。
スポーツ用品関係者は、メーカーには「セパレートのユニホームを作るから盗撮問題が生じる」という苦情が届くという。セパレート型ユニホームは選手のニーズがあって作っているとし「盗撮問題は(大会の)運営も含めて対応できないものでしょうか」と問題提起をした。
「撮影する場合は届け出て許可パスをもらったり、チームメイト・家族以外が関係のない選手を撮影しないなど、周囲でできることから呼びかけて欲しいです」
対策については
「ウィメンズアイテムはブラトップ、ショーツは透けないように素材の織りを考慮し、高密度の編地を採用しています。選手が着たいものを制限するわけにはいかないので、できることでの対応をしています」
と述べる。