プロボクシングの元WBO世界バンタム級王者ポール・バトラー（英国、34）が、元世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥（大橋、30）の実力に言及した。英ボクシング専門メディア「ブリティシュ・ボクシングニュース」（WEB版）が2023年7月12日に報じた。
-
井上尚弥選手（写真：山口フィニート裕朗/アフロ）
「井上がこれまで経験していないことはない」
井上は7月25日に東京・有明アリーナでWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン（米国、28）に挑戦する。階級をバンタム級からスーパーバンタム級に上げた初戦でいきなり2団体統一王者と拳を合わせる。井上、フルトン共に全勝で世界的に注目される一戦だ。
海外のボクシング専門メディアでは、評論家を始めトレーナーや現役選手らが試合を予想し様々な意見が飛び交っている。そのような中、バトラーは地元英国のボクシング専門メディアに自身の経験を元に井上の「怪物」ぶりに言及し、フルトン戦の結果を予想した。
バトラーは22年12月にWBO世界バンタム級王者として当時同級3団体（WBA・WBC・IBF）王者・井上と4団体のベルトをかけて対戦。初回から消極的な姿勢でアウトボクシングに終始するも11回につかまりTKO負けを喫した。
バトラーは井上とフルトンの体格差について触れ、「フルトンは身長とリーチで少し有利だが、井上がこれまで経験していないことはない」と説明。井上が18年5月の世界戦でWBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル（英国）と対戦し1回TKO勝利を収めた事実を指摘した。
「井上はあまりにも速く、爆発力があり技術的にも優れている」
マクドネルは身長175センチ、リーチ182センチで、井上の身長（165センチ）とリーチ（171センチ）を大幅に上回っていた。井上は体格差をものともせず1回1分52秒でTKO勝利した。
バトラーはフルトンとの体格差があっても「スーパーバンタム級なら何も問題ない」とし、「フルトンにとって井上はあまりにも速く、爆発力があり技術的にも優れている。井上は特別なファイターだ。井上に殴られるとそれを感じる」と対戦した者にしか分かりえない感想を漏らしたという。
試合の予想については「井上は8ラウンドか9ラウンドあたりでフルトンをとらえると思う」とし、「井上に勝つには、全ラウンドの1秒1秒を完璧にこなさなければならない。井上が勝つには1秒だけ完璧であればいい。それが井上が持つパワーの利点だ」と語ったという。