「いいね」絵文字が契約同意に有効...カナダで判決 日本で認められる可能性は?

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日本で契約の合意に「いいね」を使った場合は

   日本では2022年に、杉田水脈衆院議員がツイッター上でジャーナリストの伊藤詩織さんを誹謗中傷する投稿に「いいね」を押したことが名誉棄損として東京高等裁判所により認められた例があるが、契約書においても絵文字が合意と認められる可能性はあるのか。

   藪田弁護士は、契約の合意について次のように説明。「いいね」の絵文字や口頭でも当事者の意思の合致があれば契約は成立し得るとした。

「私法上、契約は当事者の意思の合致により成立するので、法令に特段の定めがある場合を除いて合意の方法に決まりはありません。ですから、一般的によく見られる契約書へ署名・押印のほか、当事者の意思の合致さえすれば、口頭でも、今回のカナダの裁判例のように『いいね』を表示することによっても合意することは可能です」

   ただし、裁判において絵文字が契約の合意として認められるかどうかは別問題だという。

「裁判所に契約の合意を認めてもらうには、原則的に、契約の合意があると主張する当事者がその事実を立証しなくてはならず、この立証ができない限り、裁判においては契約の合意が認められません。先ほど挙げた合意方法を例にとると、口頭で合意した場合には、確かに口頭で合意したということを証明しなければなりませんが、この時、相手方から『そんな契約した覚えはない』と言われてしまうと、口頭による合意の証明は録音でもない限り、非常に難しくなります」

   では、「いいね」の絵文字による合意が認められるのはどのような場合になるのか。

「『いいね』を表示することによって合意した場合には、それが当事者の合意を意味することを証明しなければなりませんが、この時、相手方から『"いいね"はありがとうとか了解とかシチュエーションに応じて色々な意味で使っており、決して合意を意味するものではない』と言われてしまうと、『いいね』が合意の意味であるという証明は難しくなります。そうすると、日本の裁判において『いいね』の表示が契約の合意と認められるには、例えば、当事者間での取引では従前から契約の合意には『いいね』を使っていて、それが当事者間で慣習化していた特殊な事情があるなどの個別具体的な事情を積み重ねることで立証する必要があり、その立証ハードルは低くないと言えるでしょう」
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