「129日前の私!まじで状況変わったよ!」 どん底から注文殺到へ...1本のツイートで激変した切子作家の人生

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「どん底」だった当時の状況

「2019年に一人で切子のブランドを立ち上げました。まだ経験も浅く、充実したコネクションも販売経路もないまま始めてしまったので、不安しかなかったです。でも『これしかない』と思って、まだ若いうちに挑戦してみたいと思いました」

   ともかさんがガラス細工に興味を持ったのは高校生の頃だった。昔から絵を描くことが大好きで、イラストやデザインの道を志し、美術に力を入れる高校に進学した。授業の課題で美術館のレポートを作成することになり、あるチラシが目に留まった。

「六本木のサントリー美術館で開かれていた『ヴェネチアン・グラス展』のチラシがとても印象的で、惹かれて見に行ったのがガラスとの出会いでした」

   2年生からは学外のガラス教室に通い、卒業後はその専門学校でガラスに関わる技術全般を2年間学んだ。切子だけでなく、吹きガラスやトンボ玉にも取り組んだという。その後、切子ガラスを制作する会社に入社した。

「2年10か月にわたって職人見習いをしていましたが、会社は合わずに辞めてしまいました。一人でやり始めたものの、依頼の数にはバラつきがあって、たくさんのオーダーを頂くタイミングがあれば何もないこともありました。自分からイベントに出展することもありましたが、爆発的に売れることはなく、どうにか少しずつ食いつなぐ状況でした」

   ともかさんは、組合には所属せず個人ブランド「ともきりこ」として活動を始めた。コンセプトは「カラフルでポップなかわいい切子グラス」。切子らしい規則的な模様よりも、メリハリを利かせたデザインを意識している。アシンメトリーな柄や、大胆な太い線と細やかな模様を両立させたデザインなどで、ガラスの織り成す光と影の美しさを自分の感性で表現する。

「ビビッドカラーからパステルカラーまで、ガラスの持つ鮮やかな色彩に惹かれました。私は、少女向けアニメに出てくる変身グッズのようなかわいさが好きです。 まだ切子のアクセサリーの種類が少なかったので、『私だったら可愛く作れるぞ』と思って、カラフルできらきらとしたガラスの魅力が伝わるようなピアスなどを作っています」

   切子ガラスの素材となるガラスは、吹きガラス職人に依頼する1点ものであり高価だ。自転車操業の日々が続き、アルバイトを増やした。多いときは4つほど掛け持ちしていたという。切子は座り作業が中心だが、バイトは立ち仕事も多く、心身が疲弊していった。

「この時間をもっと制作にあてたいな」

   思いつめたバイトの休憩時間、衝動的に投稿したツイートが想定外の反響を呼んだ。

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