韓国の最大野党「共に民主党」の国会議員が原発処理水の海洋放出に反対するために開いた記者会見に立憲民主党の阿部知子衆院議員が同席したことについて、立憲の泉健太代表は2023年7月14日の定例会見で「党の政策として動いているとか、党の立場として動いているものではない」と述べた。
7月12日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で開かれた韓国議員の会見では、阿部氏が事務局長を務める超党派の議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」の有志が韓国側と共同声明を出したことも紹介された。声明には、日本側から8人の国会議員が賛同しており、そのうち5人が立憲の議員だ。そのため、SNSでは党のあり方を疑問視する声も出ていた。
「超党派議連の動きとしての議員活動と認識」
共同声明は「日本政府に海洋放流計画中止を要求」することをうたっており、日本側は、会見時点で記載順に近藤昭一(立憲)、篠原孝(同)、 原口一博(同)、 阿部知子(同)、櫛渕万里(れいわ)、大河原雅子(立憲)、福島瑞穂(社民)、大椿裕子(同)の8議員が賛同している。阿部氏は記者会見で、
「現時点で共同声明に同意する人は、まだ始まったばかりなので8人。その後、私たちの国会からさらにメンバーを増やす予定で、今後は私たち側と韓国側、その他の国から参加して定期的にズーム会議を開く。まだ始まったばかりだ」
とあいさつしていた。
7月14日の泉氏の会見では、阿部氏の会見出席は党の活動とはリンクしないとの考えを示した。
「党の政策として動いているとか、党の立場として動いているものではなくて、おそらく超党派の議員連盟の動きとしての議員活動をされていると認識している。『ゼロの会』というのは、確か自民党の議員も入っていた会だと思うが、その中での活動だというふうに承知している」
処理水の放出問題は、党の中でもスタンスには濃淡がある。岡田克也幹事長は7月11日の記者会見で、
「科学的には一応答えは出ている。少なくとも、日本も含めて他国の原発などから同じようなトリチウムが排出されているということなので福島第1原発の処理水が、それらと比べて特段に問題だ、ということはできないというふうに思っている。これは科学の問題なので、しっかりと科学を踏まえて近隣の国々に対しても説明し理解を得る努力が必要だと思う。政治的にそれを利用するようなことはあってはならないことだと思っている」
と述べた上で、風評被害を防ぐための努力が「政府に強く求められると思う。そのための努力が十分だとはとても思えないと考えている」と述べている。