井上尚弥の刺客フルトン、「早期来日」の思惑は? 識者が挙げる2つのポイント

   プロボクシングのWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国、28)が2023年7月11日に来日した。フルトンは7月25日に東京・有明アリーナで元世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)の挑戦を受ける。

  • 井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
    井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
  • 井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

プロ22戦目にして初の海外リング

   スポーツ紙などの報道によると、空港でメディアの取材に対応したフルトンは「勝つために来た。自分の仕事を遂行して米国に帰りたい」と長旅の疲れも見せずに意気込みを語ったという。海外でのリングはプロ22戦目にして初めてになる。

   世界的な注目を浴びる井上対フルトン戦。通常の世界戦よりも早めとなる試合2週間前に来日した王者陣営。この「早期来日」は何を意味するのか。J-CASTニュースは、数々の世界戦をプロモートしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(57)に分析してもらった。

   金平会長は、今回の2週間前の来日を「早い」と感じたという。

   ここ最近の世界戦で王者、挑戦者が来日する場合、1週間前がほとんどで早くても10日前後だという。井上の直近の試合は、22年12月13日に行ったWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国)と世界バンタム級4団体王座統一戦だが、この時バトラー陣営は試合1週間前の12月6日に来日している。

   金平会長によると、滞在期間に関しては事前にプロモーター同士の話し合いによって決められ、今回はフルトン陣営の要望が通ったとみられる。なぜ通常よりも早い2週間前に来日したのか。金平会長は考えられる2つの要因を挙げた。

「減量が苦しいのは確かでしょう」

   ひとつ目は時差や気候への適応で、2つ目に減量を挙げた。

   金平会長は「フルトンはフェザー級に上げると言っていた選手ですから。骨格も大きい。程度は分からないが減量が苦しいのは確かでしょう。あとひと絞りのための助走をつけるための2週間のはず。最後の数日のことを考えて早めに入ってきたのでしょう。それだけフルトン自身がシビアに勝ちにきているということの表れだと思います」との見解を示した。

   過去に選手を率いて海外での世界戦を経験している金平会長は、減量が楽な選手ほど早めに現地入りすることを拒む傾向にあったという。また、日本国内の世界戦をプロモートした際、減量が厳しい選手の陣営から通常よりも早く来日を要望するケースもあったという。

   金平会長は「フルトン選手の場合、プロで初めての海外での試合ですから環境に慣れるために本人の希望があったと思います」とし、「世界的に注目されている試合なので。周到な準備をしたいと思うのは当然のことです。ここで負ければ自分が積み重ねてきたキャリアが台無しになってしまう。早めに来日したことに気合と意気込みを感じます」と語った。

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