連絡なしに予約をキャンセルされたことがあったとして、静岡県の伊豆長岡温泉にある老舗旅館の専務が、せめて事前連絡するようツイッターで訴えている。
このときは、客の注文を受け、記念日用のデザートプレートも用意するなどしたという。どんな状況だったのか、専務に取材して話を聞いた。
記念日用のデザートプレートも用意したが...
「Happy Anniversary」。プレートには、チョコペンでこうつづられ、たくさんの花も描かれている。そのメッセージが、4種類のデザートを華やかに彩っていた。
伊豆の国市内の旅館「富嶽はなぶさ」の3代目で専務の花房光宏さん(38)は2023年7月8日、ツイッターにこんな写真を投稿して、「コレ注文しておいて連絡なし不着って...」「悲しいです」などと嘆いた。
この客は、ネット上で予約をしていたという。心を込めて料理を作り、時間をかけてプレートを書き、メッセージカードも準備していたと明かした。部屋もきれいにして待っていたにも関わらず、連絡もなく来なかったという。
写真の投稿は、4万件以上の「いいね」が押されるほどの反響を呼び、様々な意見が書き込まれている。
旅館のキャンセル規定では、当日キャンセルや不着は宿泊代の100%を請求するが、「『お金が貰えたら別に良い』という訳ではない」「『喜んでいただきたい』と心を込めて準備したモノは行き場を失う」と訴えている。
今回のキャンセルについて、花房さんは12日、J-CASTニュースの取材に応じ、客は、公式サイトを通じて1か月以上前から、富士山ビューの露天風呂付客室を1泊で予約していたと話した。
「事情の説明とお詫びの言葉があった」
「1か月前に、公式サイトより追加の別注料理として、デザートプレート1つの注文をいただきました。プレートにどういったメッセージを書くか打ち合わせして準備しようと、すぐにメールしましたが、返信はありませんでした。電話をかけてもつながらず、10日前、1週間前にも連絡しようとしてもダメでしたね。どのようなお祝いか分からないときの決まりから、『Happy Anniversary』と入れましたが、お客様はお越しになられませんでした」
連絡もなくキャンセルになったため、この翌日、予約にあったアドレスから客にメールを送った。すると、その日のうちに返信があったという。
「詳細についてはお話しできませんが、キャンセルになった事情の説明がありました。そのうえで、お詫びのお言葉をいただきました」
キャンセル料については、2週間後までに支払ってもらう規定になっているという。
「連絡なくキャンセルされることは、年に数回ぐらいはあります。そのときに、キャンセル料の支払いを渋るお客様もおられ、お互いに嫌な気持ちになってしまいます。もし事前連絡があれば、お客様に事情もありますので、場合によってはキャンセル料をお預かりして1年以内にお泊りになればOKとすることもあります。キャンセル料を何が何でも請求しているわけではありません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)