東京電力福島第1原発から出た処理水の海洋放出をめぐり、韓国の最大野党「共に民主党」の国会議員らが2023年7月12日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。
会見には、立憲民主党の阿部知子衆院議員も同席。阿部氏が事務局長を務める超党派の議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」の有志が韓国側と共同声明を出したためだ。現時点で賛同しているのは阿部氏を含む8人だが、今後は人数を増やしていきたいとしている。
「日本は、金のために全人類を危険にさらそうとしている」
韓国の国会議員団は7月10日から12日にかけて来日し、反対運動を展開してきた。団長の魏聖坤(ウィ・ソンゴン)議員は記者会見で、(1)海洋放出が海に対する深刻な脅威になる(2)放出は国際法違反だ(3)国際原子力機関(IAEA)の報告書は免罪符にならない(4)セシウムを含んだクロソイの発見は、放射性物質の生態系への蓄積を警告している(編注:原発の港湾内で5月に捕獲したクロソイから、食品衛生法が定める基準値(1キロ当たり100ベクレル)の約180倍の放射性セシウムが検出されている)(5)海洋放出以外にも方法がある、などと日本政府の方針を批判。このまま方針を撤回しなければ
「日本政府は国際社会から計り知れない怒りと抵抗に直面するだろう」
と主張した。
尹才鉀(ユン・ジェガプ)議員は、
「世界第3位の経済大国である日本は、金のために全人類を危険にさらそうとしている」
と非難した。
日本語版と英語版で日付も人数も違う「急ごしらえ」共同声明
日韓議員による共同声明も公表された。声明では、海洋放出が環境に与える影響の評価が不十分だとして、
「今後とも環境への評価は日本政府の依頼によるIAEA以外にも広く環境関係の専門機関の意見も聞いて、十分分析、検討されねばならないと考える。韓日両国議員がより良い韓日関係構築を展望しながら、現世代だけでなく両国民の未来世代のために、日本政府に海洋放流計画中止を要求し、 韓日両国議員は多様な国際連帯を通じてこの問題を解決するために全力で努力する」
としている。
韓国側からは、会見に出席した2人を含む11人が名を連ねた。日本側は、記載順に近藤昭一(立憲)、篠原孝(同)、 原口一博(同)、 阿部知子(同)、櫛渕万里(れいわ)、大河原雅子(立憲)、福島瑞穂(社民)、大椿裕子(同)の8議員だ。共同声明は日本語版と英語版が配られ、日本語版が7月11日付けで日本側の議員は4人しか名前がないのに対して、英語版は7月12日付けで8人が載っている。阿部氏によると、7月12日朝に名前を連ねる事が決まった議員もいるという。急ごしらえの声明で、阿部氏は
「現時点で共同合意に同意する人は、まだ始まったばかりなので8人。その後、私たちの国会からさらにメンバーを増やす予定で、今後は私たち側と韓国側、その他の国から参加して定期的にズーム会議を開く。まだ始まったばかりだ」
などとあいさつした。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)