ウクライナ復興に高速鉄道?構想浮上で日本に熱視線 駐日大使「日本が他国助けた経験計りしれない」

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   ウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使が2023年7月10日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で開いた記者会見で、ウクライナに高速鉄道を導入する構想について「非常に興味深いプロジェクトのひとつ」だと期待感を示した。ウクライナ復興の一環として浮上した報道に対する質問に答えた。

   「まだ何も決まっていない」と話しているが、首都キーウから数時間で国内のあらゆる都市に移動できる環境が整えば「ウクライナを変えることになるだろう」とも述べた。

  • 記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使。ウクライナに高速鉄道を建設する構想に期待感を示した
    記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使。ウクライナに高速鉄道を建設する構想に期待感を示した
  • 記者会見するウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使。ウクライナに高速鉄道を建設する構想に期待感を示した

「日本の役割は、他国ができるような小さなものではなく...」

   ウクライナに高速鉄道を導入する構想は、産経新聞が6月28日の紙面の1面トップで「ウクライナ 新幹線構想」の見出しで報じた。6月16~18日に三重県志摩市で開かれた先進7か国国(G7)交通相会合に、ウクライナのクブラコフ副首相兼インフラ相も参加。協議の場でクブラコフ氏から「『日本の新幹線の技術を学んで鉄道の高速化を図りたい』との趣旨の発言」があった、と伝えている。

   構想について事実関係の確認を記者から求められたコルスンスキー氏は、クブラコフ氏が会合に参加できたことを感謝する一方で「まだ何も決まっていない」と説明。ウクライナの復興で日本に何ができるかについて議論が行われている段階だとして、

「私が思うに、日本の役割は、他国ができるような小さなものではなく、大規模なインフラプロジェクトにあるのではないか」

   との見立てを披露した。この100年間で1回の戦争、3回の震災から復興を果たしてきた日本の歴史に言及しながら、「日本が他国を助けた経験は計りしれない」とも発言。その上で、

「私たちの観点からすると、ウクライナの高速鉄道は非常に興味深いプロジェクトのひとつ」

   だと述べ、その意義を次のように説明した。

「ウクライナの地理を考えれば、高速鉄道を導入するのは非常に合理的」

「ウクライナの地理を考えれば、高速鉄道を導入するのは非常に合理的だ。キーウから700~900キロという距離は、新幹線にとってはそれほど長くはなく、片道2~3時間で行ける。ウクライナを変えることになるだろう」

   東海道新幹線の場合、東京-新大阪間の約550キロを2時間半ほどかけて結んでいる。北東部にある首都キーウから西部にある第2の都市、ハルキウまでの距離は400キロ程度。仮に構想が実現すれば、キーウから数時間で全国どこにでも移動できる日が来る可能性もある。

   林芳正外相は6月21日にロンドンで開かれた「ウクライナ復興会議」で、23年末から24年初めの「適切なタイミング」で「日ウクライナ経済復興推進会議」を東京で開き、「日本の官民を挙げてウクライナの復旧・復興を力強く後押しする」ことを表明している。

   コルスンスキー氏は、この会議に「おそらくウクライナ政府からも企業からも非常に大きな代表団が参加することになる」と指摘。構想の進展に期待していた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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