テニスのウィンブルドン選手権女子シングルス4回戦が2023年7月9日に現地で行われ、マリエ・ブズコバ(チェコ、24)がマルケタ・ボンドロウソバ(チェコ、24)にフルセットの末逆転負けした。
「ブズコバは準々決勝進出を逃す」
ブズコバは第1セットを6-2で先取したが、第2セットを4-6で落とすと最終セットは3-6と巻き返しならず準々決勝進出を逃した。一方のボンドロウソバはベスト8進出1番乗りを決めた。
ブズコバ、ボンドロウソバの地元メディア「iDNES.cz」(WEB版)は、両者の健闘をたたえ勝者のコメントを紹介。記事によると、ボンドロウソバは「トーナメントの前は、芝ではあまり勝てなかった。マリエ(ブズコバ)とは長い付き合いで、彼女は芝ではとても危険な選手。初めて準々決勝に進出できてとてもうれしいわ」と語ったという。
6月に開催された全仏オープンで起きた加藤未唯の「失格騒動」の影響で、ブズコバの言動はウィンブルドンで注目されていた。
加藤が失格になったのは6月4日に行われた全仏オープン女子ダブルス3回戦。加藤、アルディラ・スーチャディ(インドネシア)組はブズコバ、サラ・ソリベストルモ(スペイン)組と対戦し、第2セット第5ゲームのポイント間にネット際にいた加藤が、自陣コートにあったボールをコート外に出すためバックハンドで返球した。これがボールガールの頭部に当たり、ボールガールは泣き出してしまった。
複数の欧州メディアによると、加藤は主審に警告を宣告されたが、直後にブズコバペアが主審に異議を申し立て、判定が覆って失格になったという。
ウィンブルドンまで持ち越された騒動
加藤は女子ダブルスの失格を乗り越え全仏の混合ダブルスで優勝し、多くのテニス関係者から称賛された。これに反して現役選手や元選手、テニス解説者からブズコバペアへの批判は高まり、ブズコバのSNSに誹謗中傷のコメントが相次いだ。
全仏オープンが終了しいったん騒動は収まりかけたが、ブズコバがウィンブルドン開催中に地元メディアに加藤への怒りをぶちまけたことで、インターネットなどでブズコバへの批判が再燃した。
7月4日に公開された地元メディア「iDNES.cz」のインタビュー記事の中でブズコバは「彼女(加藤)はすべてを引き起こし、私たちを敵に回した。彼女は私たちを悪者にしたのです」と非難し、次のように続けたという。
「彼女は試合中ずっと怒っていてラケットを投げることもあった。私たちはオーストラリアで対戦したことがあるけど、そこでも似たような感じだった。彼女は何かトラブルを起こしていた。多くの選手たちが、彼女がコートでどんな態度をとっているか知っていると言っていた。彼女にあんなことが起きても驚かないと言っていた」
このような背景から「失格騒動」はウィンブルドンまで持ち越された。ボンドロウソバの勝利を速報した大会公式ツイッターやインスタグラムには、ボンドロウソバの勝利をたたえるコメントと共にブズコバへの批判的なコメントも見られた。「次のステップに進むために加藤とスーチャディに謝る時が来た」「ブズコバはローラン・ギャロスで起きたことを謝罪すべき」「悪い血を追い払った」などのコメントが寄せられ、いまだ尾を引いているようだ。