葬送、鬼滅、推しの子...アニメで「初回拡大放送」相次ぐ なぜ30分越え?識者が期待する可能性

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初回拡大放送を行うメリット、「【推しの子】」が体現

   初回拡大放送にはどのようなメリットがあると考えられるか。小新井さんは、視聴者の「1話切り」を防ぐことができると説明する。

「どのアニメを見るか決めるために序盤だけ見る人々がいます。以前までは3話までで判断する『3話切り』が多かったと思われますが、昨今はアニメの数が増えたことで『1話切り』(現在は『0話切り』さえ)も増えてきました。
初回拡大放送では、作品が盛り上がる場面まで見たうえで、視聴継続を判断してもらえると思います」

   このメリットを強く実感したのが、「【推しの子】」だという。小新井さんは、「初回拡大放送が効果的に受け取られた作品」だと話す。

「作品のメインビジュアルの真ん中に描かれている『星野アイ』が退場してしまうという、衝撃のシーンまで描き切ることで、作品の核となる主人公らの目的が明かされました。この1話ラストで作品に引き込まれた人も多いと思います。この初回拡大放送は、その後の盛り上がりにも大きく貢献したと考えられます」

   人気に応えるために行われた拡大放送とは一線を画するという。さらに「推しの子」はテレビ放送される前に、映画館で先行上映も行われた。

「映画並みの長さとなったことで、放送前後に劇場での上映にもっていくことができる。人々がその作品に触れる機会が増えます」

   「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」の第1話も、映画館で「上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」と題したワールドツアー上映を行っている。前シリーズ「遊郭編」のクライマックスと最新シリーズの1話を組み合わせた内容だ。

   先行上映された内容が、放送前にネタバレとして大きく話題になることもなかった。後にテレビやサブスクリプションで見ることができる内容を、わざわざ映画館で見る人は限られているためと推測する。

「先行上映を見るのは、元々作品をよく知っているファンが多いと思います。その方々はこれから初めてその作品に触れる人々が楽しめるよう、ネタバレしようとは思わないはずです。先行上映は客層との組み合わせがマッチしていると思います」

   さらに小新井さんは「ある程度の興行収入があれば、それがアニメのプロモーションにもつながるのではないか」と考察する。

「実際に『ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』は、先行上映としては異例の大ヒットを記録し、度々興収記録がニュース記事にもなっておりました」
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