「ホテル同じ部屋でも大丈夫?」男性上司の提案に女性部下嫌悪 ハラスメントにならない?弁護士に聞いた

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   ホテルなんだけど、最悪同じ部屋でも大丈夫?――。上司からこんなメッセージが会社の経費削減を口実にして送られてきたという20代女性のエピソードが、SNSで注目を集めた。

   投稿者のべろにかさん(@Mchandayon123)は、メッセージを見た時に「気持ち悪いと思いました」とJ-CASTニュースの取材にコメント。「男女同じ部屋というのを提案してくること自体ありえないです」と問題点を指摘した。

   上司のこうした言動は何らかのハラスメントに当たらないのか。弁護士法人・響の古藤由佳弁護士はパワーハラスメント(パワハラ)とセクシャルハラスメント(セクハラ)に当たると取材に回答する。似た事例を尋ねると、「職場で発生するハラスメントのほとんどは、業務上の必要性にかこつけて生じています」と説明した。

  • (写真はイメージ)
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  • 実際の上司からのメッセージ(べろにかさん@Mchandayon123提供)
    実際の上司からのメッセージ(べろにかさん@Mchandayon123提供)
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  • 実際の上司からのメッセージ(べろにかさん@Mchandayon123提供)

「下心丸出しの上司キツすぎる」

   地方に出張に行く予定だったべろにかさんは2023年6月20日、仕事に同行する上司から以下のようなメッセージが届いたとツイッターで紹介した。

「ホテルなんだけど2部屋空いてなくて最悪同じ部屋になっちゃうけど大丈夫? おれはかまわないけど○○さんがよければ 会社的にもこの間の□□さんの件で経費削れってうるさいからさ」

   実際の文面をスクリーンショットした上で「上司がキモすぎて早く会社辞めたい」などと嫌悪感を露わにした。この投稿は5万9000件以上の「いいね」を集めるなど話題になり、「下心丸出しの上司キツすぎる」「会社に報告しましょう」などのコメントが相次いだ。

   その後、べろにかさんは「同じ部屋はないです 会社から予算の件言われてるのなら、自腹でもいいので近くのホテル探しますよ」と上司に返信。「だよね 上にも確認して2部屋とれるようにしてもらう」とのメッセージが返ってきたという。

   会社の総務部に相談したべろにかさんは、出張に同行するのは別の人になったとツイッターで報告している。他のユーザーからは「無事で良かったです」などと安堵する声が寄せられた。

   同部屋を提案した上司のメッセージを見た時、べろにかさんは「気持ち悪いと思いました」と取材に感想を述べる。以前から食事に誘われることもあったが、今回のようなケースは初めてだったという。また男性関係を聞かれることもあった。

   「男女同じ部屋というのを提案してくること自体ありえないです。上からそのような経費削減の指示の証拠もないので本人の意向が含まれてるとしか思えません」と、問題点を指摘するべろにかさん。「立場的に下の私が断りづらいことも加味してると思うと悪質極まりない」と批判した。

「業務上の必要性・相当性が認められるか否か」

   今回のケースは何らかのハラスメントに当たるのか。弁護士法人・響の古藤由佳弁護士は7月3日、「本件は、上司から部下への提案ということなので、『優越的な関係を背景とした言動』と言えます」と取材に回答。受け手が不快な思いをしているため、パワハラに当たるという。

   また「成人した男女が同室に宿泊するという性的羞恥心や戸惑いを感じさせる提案は、当然のことながら業務上必要かつ相当な範囲を超えたものです」とも指摘する。この点でも、受け手が不快な思いをしているため、セクハラに該当するという。

   似た事例は他にもあるのか。古藤弁護士は「職場で発生するハラスメントのほとんどは、業務上の必要性にかこつけて生じています」と説明する。

   得意先との接待などは一般的に業務として存在し、こうした相手との関係性を保つことは当然必要であるとしつつも、「接待の内容として、単なる飲食を超えて、特定の性別であることを理由とした接待を強要されるような場合は、ハラスメントと判断される可能性が高い」と見解を示している。

   受け手が不快だと感じつつも、相手の言動が仕事上のやり取りかハラスメントか分からない場合もあるだろう。その場合は、どのように判断すればよいのか。

   相手の言動をハラスメントか判断する場合、法律的には「業務上の必要性・相当性が認められるか否か」が重要になるという。業務上の必要性がなかったり、合理的な範囲を超えたりする相手の言動で、受け手が不快になった場合はハラスメントだと、古藤弁護士は述べる。

   また、「業務上、性的な言動が必要になる場面はありませんから、性的な言動によって、不快な思いをしたり職場環境が乱された場合にはすべてハラスメントと言えます」とも述べた。

   古藤弁護士は、不快に感じた相手の言動について「仕事だから仕方ない」「不快に思うのがおかしい」などと思ってしまいがちだとし、「まぁいいか」の積み重ねでハラスメントはエスカレートしていくと説明する。

   まずは周囲の同僚や友人に相談するのがよいという。その後、ハラスメントだと判断した場合は、会社のハラスメント相談窓口や加害者の上司に当たる人などに相談することを、古藤弁護士は勧めている。

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