南アルプス国立公園にある北岳の登山道で、焚き火をしてゴミを放置した男性がいたとして、ツイッターに写真が投稿され、物議を醸している。
この男性は、なぜか腰にナイフのようなものを下げていたという。この場所は、山梨県の県有地になっており、県は、焚き火を禁止する規則はないとしながらも、「森林火災につながる行為は、控えていただきたい」と話している。
男性の左腰には、大きなナイフのようなものが
迷彩服のようなズボンを履いた男性が切り株に座って、足を組んでいる。男性は、その前で石を集めて、直火の焚き火をしていた。
男性の左腰には、大きなナイフのようなものが下がっていた。
この写真は、通りがかったという登山者が2023年7月6日、ツイッターに投稿した。
それによると、3日午前7時ごろ、山梨県南アルプス市内の通称「第一ベンチ」と呼ばれる休憩場所で目撃した。男性は、焚き火で炊飯していたといい、テントを張っていた可能性もあるとした。サバイバルナイフのようなものを持っていたため、登山者らは声をかけられなかったという。
翌4日15時40分ごろ、登山者らが下山時に状況を確認すると、焚き火跡がそのまま残され、新品のような携帯炊飯器やスプーン、金属類が捨てられていた。黒っぽい炊飯器などが放置された写真もアップされており、登山者はその後、北岳山荘などに連絡したとしている。登山者は、ここまで酷いケースは初めて見たとし、この男性を特定させてゴミを回収させることなどを求めている。
これらの投稿は、1万件以上リツイートされ、大きな関心を集めている。
北岳山荘を運営する南アルプス市の観光施設課は7日、J-CASTニュースの取材に対し、匿名の登山者からメールで6日に情報提供があり、山荘などに確認して実態を把握したと答えた。
「山小屋関係者の方が現場を通りがかって、ツイッター投稿と同じ状況を確認したと聞きました。翌日に降りてきたときに、焚き火の残骸を見つけたということです。関係機関に連絡を入れ、警察にも伝えてあります。焚き火をした男性は、まだ特定できていません」
「直火の焚き火は止めて、決められたルール内で楽しんでほしいです」
焚き火などの行為について、北岳山荘のスタッフは7月7日、取材にこう苦言を呈した。
「山荘に立ち寄った登山者の方から、3日中に情報を得ています。焚き火では、石と木の枝を集めて直火で炊飯したのではないかと思います。ナイフは、川釣りでは使うかもしれませんが、登山では、小型の刃物があればよく、なぜ持っていたのかと思います。国立公園内ですので、直火の焚き火は止めて、決められたルール内で楽しんでほしいです」
県有地を担当する山梨県の中北林務環境事務所の県有林課は7日、南アルプス市から同日に情報提供を受けたとして、取材にこう話した。
「土地を管理している県の条例では、焚き火を禁止する規則は定められていません。しかし、森林火災に繋がる行為は、控えていただきたいと考えています。今後は、山火事を防ぐため、広く注意喚起していきます」
国立公園を所管する環境省の南アルプス自然保護官事務所も7日、自然公園法上、焚き火は規制行為には該当していないと取材に答えたが、「どこでも焚き火をしていいわけではなく、キャンプ場で行ってほしいと思います。それでも、直火はキャンプ場でも禁止しています」と話した。
国立公園内でテントを張る行為については、工作物を築くことを禁じた自然公園法の第20条に基づき、規制対象になるとした。ゴミ放置については、ゴミなどを捨てることを禁じた第37条に抵触する可能性があるとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)