広島が強い。本拠地・で首位・阪神に2勝1敗とカード勝ち越し。投打がかみ合って安定した戦いを繰り広げている。阪神に2.5ゲーム差まで詰め、首位浮上が見えてきた。その中で活躍が際立つのが、4番を務める西川龍馬だ。
好調な時は投げる球がない
阪神との3連戦では1戦目の4日にバックスクリーンへ3ラン、2戦目の5日に猛打賞をマークするなど計11打数7安打と大暴れ。打率.332まで上昇した。リーフトップの打率.362を記録するDeNA・宮崎敏郎とは差があるが、残り67試合でひっくり返す可能性は十分にある。
他球団のコーチは、西川についてこう分析する。
「一言で言えば天才ですね。難しい球も簡単に安打にする。好調な時は投げる球がない。以前はボール球をヒットゾーンに飛ばす悪球打ちが諸刃の剣になっていた。状態が悪いとボール球に手を出して凡打をしていたが、今年はきっちり見極めて甘い球を打っている。体のコンディションも良いようだし、打率はなかなか落ちないんじゃないですかね」
打撃センスは球界屈指で知られ、昨年までの通算打率.298とハイアベレージを記録している。だが、故障が多いのがネックで規定打席に到達したのは2シーズンのみ。打撃タイトルとは縁がなかった。昨年に国内FA権を取得して去就が注目されたが、今季から就任した新井貴浩監督の下で優勝を目指すことを決断。背番号「63」から昨年まで長野久義(現巨人)が背負っていた「5」に変更し、気持ちを新たにした。広島が混戦のセリーグを制するためには、西川が戦列を離れずにシーズンを完走することが最低条件となる。逆転で自身初の首位打者を獲得するような活躍を見せれば、覇権奪回が見えてくるだろう。(中町顕吾)