2023年7月5日放送のバラエティー番組「水曜日のダウンタウン」(TBS)がサプライズで青森県の津軽地方の選挙事情を特集し、視聴者の間に驚きが広がった。
汚職の実態を「顔出し」で証言する人が次々と登場する異色の社会派特集で、一時は「津軽選挙」という単語がツイッターで「トレンド」入り。過去の汚職の経緯を可視化することで、今後の不正を難しくする狙いもあるようだ。
現金授受の手口を「顔出し」で証言する人も
番組は、さまざまな「説」を検証する構成で、この日の放送の後半は「津軽地方の不正選挙えげつない説」。新聞のテレビ欄には最後の1行に「意外なもう一企画も」とあるのみで、事前告知がないサプライズ企画だ。買収が繰り返される津軽地方の選挙事情を揶揄したのが「津軽選挙」という言葉だ。
プレゼンターのサバンナ・高橋茂雄さん(47)が
「今回は『津軽選挙』の実態にグググッと迫ってみたい」
と宣言すると、出演者からは
「この番組が?この番組が迫っちゃうの?」(伊集院光さん(55))
といった声があがった。
その後のVTRでは、1970年後半を中心に起こった買収事件の様子を、当時の新聞記事や再現ドラマ、地元住民の声などで構成。実際に現金を受け取ったり配ったりしたとする人が、具体的な金銭授受の手口を次々に説明した。「顔出し」で証言する人も複数いた。14年7月には、青森県平川市で行われた市長選をめぐり、市議会議員20人中15人が逮捕される事案も発生。逮捕された元市議のひとりが「いろいろ生活に響くので変なこと言えない」と、取材を断る様子も放送された。
「注目が高まって、放送以降の選挙では確実に今よりは不正がやりにくくなって...」
VTRによると、取材に応じた人に「不正選挙はまだあると思う?」と聞いたところ、32%が「まだある」と回答、68%が「もうない」と答えた。VTRは
「現在は不正選挙など行われていないと信じたいし、津軽選挙という言葉が過去のものになる日もそう遠くないのかもしれない」
と締めくくられ、スタジオの高橋さんが
「津軽選挙について放送することによって、さらに注目が高まって、放送以降の選挙では確実に今よりは不正がやりにくくなって...。不正防止という観点でも、非常に今回の企画は意義があったのでは」
と企画の意義を解説したが、松本人志さん(59)は「ドッキリなんじゃないかな?と思う。これ自体が」と困惑していた。
「水ダウ」では、過去にも社会的にインパクトがある企画が評価されたことがあり、例えば放送批評懇談会が優れた番組などを顕彰する「ギャラクシー賞」を度々受賞している。初受賞は15年7月度の月間賞で、「徳川慶喜を生で見たことがある人 まだギリこの世にいる説」。徳川慶喜は1913年に死去しており、放送当時102歳を超える高齢者の証言を集めたことが評価された。それ以外にも、
「新元号を当てるまで脱出できない生活」(19年5月度)
「おぼん・こぼん THE FINAL」(21年10月度)
などが受賞している。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)