プロ野球DeNAのトレバー・バウアー投手(32)が2023年7月1日に横浜スタジアムで行われた中日戦に先発し、味方守備のプレーをめぐり感情を露わにした。
バウアーが怒りを示したのは2点ビハインドの6回2死1、2塁の場面だった。
挟殺プレーミスでオールセーフ
岡林勇希外野手(21)が放った打球をセカンド牧秀悟(25)が捕球。牧は1塁に送球せず3塁へ向かっていた1塁走者・龍空内野手(20)を追いかけるもタッチできず龍空は3塁へ。3塁でストップしていた石橋康太捕手(22)が飛び出したところで牧は伊藤光捕手(34)に送球し、伊藤は石橋を3塁へ追い詰めたが石橋、龍空いずれもアウトにできずオールセーフとなった。
その瞬間、ホームのカバーに入っていたバウアーは感情を抑えることなく大きな声で何事かを叫んだ。マウンドに向かう間にも何度も怒声を発した。試合は2死満塁で再開し、バウアーは高橋周平内野手(29)をピッチャーゴロに抑え無失点で切り抜けた。試合は延長12回2-2の引き分けに終わった。
スポーツ紙などの報道によると、バウアーは試合後に6回の場面を振り返り、「誰かに対して腹が立ったわけではない」とし、「強いて言うならば自分自身に腹が立った」と説明したという。
試合中にバウアーが自身の感情を抑えずにストレートに表現したことについて、巨人、ヤクルト、楽天、西武でコーチを歴任してきた橋上秀樹氏(57)は、J-CASTニュースの取材に対して次のような見解を示した。
「選手たちも自分たちがミスしたということは分かっている」
橋上氏は「DeNAには優勝を経験している選手がいない(編注:宮國椋丞投手(31)は巨人時代に経験あり)ので、優勝するための手綱の締め方を知っている選手がいない」とし、「6回の場面を見ると、優勝を経験した選手がチームを締めるという役割をバウアー選手が担うような感じがします。自分に対して怒ったのでしょうが、グラウンドであのように感情を露わにしたことである意味チームに緊張感を与えたと思います」と指摘した。
そして「選手たちも自分たちがミスしたということは分かっているはず。あそこでなあなあになってしまうのが優勝経験のないチームの大きな特徴です。『まあしょうがないだろう』と。バウアー選手が激しい口調で怒った仕草を見せたが、あの場面では誰に言ったか分からないのでみんなが自分に言われているように感じていると思います」と持論を展開した。
DeNAはセ・パ交流戦明けの阪神との首位攻防戦で3連勝しリーグ首位に浮上した。ところがその後4連敗。バウアーの肩に連敗ストップがかかっていた。橋上氏は、バウアーの野球に取り組む姿勢や気迫などを高く評価した上で次のように語った。
「バウアー選手の場合、一生懸命やっていると皆が認める選手。自分のことを一生懸命やらない選手があのように怒っても周囲はしらけてしまう。やるべきことをしっかりやっている選手があのように感情を露わにすると周りの人間は何かを感じる。厳しい姿勢というのが好影響を及ぼすことがある。バウアー選手のようにグッと締めるような態度は今後のDeNAにとってプラスになると思います」
さらに「スタンドのお客さんもバウアー選手の態度は頼もしく思えるのではないでしょうか。長年のファンにしてみれば『自分たちのチームに足りないのはこういうところだ』と頼もしく見えた人もいると思います。今後バウアー選手が中心になってチームを引っ張っていくと優勝が見えてくると思います」との見解を示した。