京都市南区内の京都駅近くで、空港リムジンバスに対して軽自動車がバスの前で急停車を繰り返す様子を撮った動画が、ツイッターに投稿されて拡散している。
バスを運行する阪急観光バス(大阪府豊中市)は、嫌がらせのような運転だったとして、被害届を出すかどうか検討中だと取材に答えた。京都府警は、動画を把握しており、あおり運転に当たるか捜査していると取材に明らかにした。
「バスに煽り運転するなんて!!」
この動画は、バスの前席付近からスマホなどで撮られていた。
京都駅に向かう烏丸通りの烏丸東寺道交差点の手前で、バスが停車しており、信号が青になっても、バスの前の軽自動車は、ノロノロ運転をする。そして、交差点に入る直前で、軽自動車が突然ブレーキを踏み、バスも急停車した。
これに対し、バスはクラクションを鳴らすが、軽自動車は、交差点内に入っても、ブレーキを2度もかけた。このときも、前方は空いており、バスも急停車した。
交差点を出てからも、軽自動車は3度ブレーキを踏み、次の次の交差点では、青信号にもかかわらず、軽自動車がまたブレーキをかけた。走り出すとブレーキをかける行為を繰り返し、その度にバスもブレーキを踏む。
軽自動車は、ノロノロ運転を続け、京都駅前の交差点に来ると、信号が黄色に変わったときに走り出し、バスは赤信号でストップした。軽自動車は、右折レーンから左折して走り去っていた。
動画は、1分20秒余の長さがあり、2023年7月1日夜に投稿された。投稿者は、「バスに煽り運転するなんて!!」と怒りを露わにしている。動画は、30万回以上再生されており、まとめサイトが次々に取り上げている。
今回のトラブルについて、投稿者は、路肩に停車した軽自動車が、バスが接近している中で急発進し、バスが接触しそうになってクラクションを鳴らしたのが発端だったとツイッターで明かした。自ら動画を撮ったといい、その前にも、軽自動車は、交差点内で急停車する悪質な運転をしていたという。
約5分間にわたって、嫌がらせのような運転が続いたという
動画の投稿者は7月4日、J-CASTニュースの取材に応じ、次のようにトラブルのきっかけについて答えた。
「最前列に座っていたため、軽自動車が路肩に止まっているのは見えていましたが、まさかバスの直前で割り込みはしないだろうと思っていたところ、バスをかすめるように発進したのでびっくりしました。運転手さんもクラクションを鳴らしたと記憶しているのですが、それが軽自動車のドライバーには気に障ったようで、信号待ちのあとの青信号で発進してすぐ交差点内で停止してバスの運行を妨害しました。バス側に問題はないと思います」
バス車内の様子については、「何度か、バスの直前で急ブレーキを踏んだため、そのたびにバスも前後に揺れたのですが、スピードも遅く幸いにも怪我等された方はいらっしゃらなかったようです」と明かした。警察への連絡については、「阪急バスさんから通報されるのが一番良いのではと思いますが、そうでないなら動画を京都府警に提出することも考えております」としている。
阪急観光バスの広報担当者は4日、空港リムジンバスがトラブルに遭ったのは、1日の19時前ごろだったと取材に答えた。大阪空港から京都駅八条口に向かう途中で、バスには、10人ぐらいの乗客が座席にいたという。
発端については、「ツイッターの投稿通りです」と説明した。バスが軽自動車にクラクションを鳴らしてから、約5分間にわたって、嫌がらせのような運転が続いたとした。バスが急停車したことで、運転手や乗客にケガがあったとは聞いていないとしている。
軽自動車の行為については、「このような運転は事故を招きますので、やめていただきたいと思っています」と苦言を呈した。バスについては、運転手がぶつかると思ってクラクションを鳴らした可能性があるとしながらも、「推奨しておらず、できれば避けた方がよかったと考えています」と話した。
また、バスのドライブレコーダーには、動画と同じような映像が映っていたと明らかにした。今後、警察に被害届を出すかについては、「バスは遅れもなく時間通りに運行できましたので、そこまでするかどうか検討しています」と話した。
京都府警の南署は4日、取材に対し、一般の人からツイッターで動画を見たと連絡があったとし、動画は把握していると認めた。
そのうえで、軽自動車の運転は悪質だとして、本部の交通指導課が道交法違反(あおり運転)に該当するかどうか捜査を始めたことを明らかにした。今後は、阪急観光バスに対し、ドラレコの映像提供や運転手からの聞き取りなどを求めることもありうるとしている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)