プロボクシングの元IBF世界スーパーバンタム級王者・岩佐亮佑氏(33)が、元世界バンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、30)に言及した。元世界王者の畑山隆則氏(47)、竹原慎二氏(51)、渡嘉敷勝男氏(62)らのユーチューブチャンネルで2023年7月3日、公開された動画に出演して語った。
「タパレスは思った通りだった」
岩佐氏は17年9月にIBF世界スーパーバンタム級王者・小國以載(角海老宝石)に挑戦し6回TKO勝利で王座を獲得した。18年8月に行った2度目の防衛戦で判定負けを喫し王座陥落。19年12月にIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦に出場し、同級3位マーロン・タパレス(フィリピン)を11回TKOで下した。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で試合が空いたが、21年4月にWBA同級正規王者でIBF同級王座を保持するムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との王座統一戦に臨み5回TKO負け。22年10月の再起戦を4回TKO勝利で飾ったが、その後リングから遠ざかり今年6月に現役引退を表明した。
岩佐氏を破り王座統一に成功したアフマダリエフは、今年4月の防衛戦でタパレスに判定負けを喫し王座から陥落した。WBAとIBFの2つのベルトを手にしたタパレスは、王座統一戦を希望しており、7月25日に東京・有明アリーナで行われるWBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトル戦の勝者と対戦する可能性が高い。
タイトル戦は王者スティーブン・フルトン(米国、28)に井上が挑戦する。
井上の対戦候補となるタパレスに勝利している岩佐氏は、「タパレスは思った通りだった。確かにうまいしパンチを当てられない。間合いとかカウンターを狙っているのが分かったので行くのが怖かったです。自分はそれが課題だったので『行け、行け』で結果(タイトルを)取れた」と振り返り、「相性的には悪くはないとは思っていた。右のリードパンチが思った以上に当たったから試合を作れた」と勝因を語った。
「僕は井上戦の青写真を描いていた」
そしてタパレスがアフマダリエフに勝利した試合を独自の視点で解説した。
両者と拳を交えた経験を持つ岩佐氏は、「タパレスは強くなった。僕に負けて強くなったと思います。その中でアフマダリエフは、より荒くなっていた。僕に負けたタパレスを相手にして『まあ勝てるだろう』と。あくまでも憶測ですけど。雑だったし。タパレスは一生懸命やっているイメージ。徹底してやった。その差が出たような気がする」と分析した。
岩佐氏がスーパーバンタム級の世界王者時代、井上は1階級下のバンタム級王者として主要4団体の王座統一を目指していた。井上は22年12月にWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(英国)を下して4団体王座統一に成功すると、1階級上のスーパーバンタム級転向を表明した。
岩佐氏がIBF世界スーパーバンタム級王座を保持していれば、井上と対戦する可能性が高かった。
岩佐氏は井上戦について「僕はその青写真を描いていた」と明かし、「アフマダリエフに勝ってそこにいれば井上君が上がってくると思っていたので。そこの青写真は描いていたんですけどアフマダリエフに負けてしまったので。それは夢だった。夢に終わってしまったところはあったけど」と当時を振り返った。