人気YouTuberが複数在籍するマネジメント事務所「Carry On」から、複数のYouTuberが脱退を報告したことを受け、事務所が2023年7月3日、公式サイトで見解を発表した。
「僕たちは税理士にお金も払っていたのに、全く申請してくれてませんでした」
「Carry On」は、かつてYouTuber事務所「Kiii」の社長を務めていた高田樹氏が21年10月に立ち上げた事務所。Kiiiから合流してきたYouTuberもいた。Carry Onをめぐっては、「チャンネルがーどまん」や「夜のひと笑い」、「ふくれな」さんらが2023年6月30日に相次いで脱退を発表し、SNSの関心を集めていた。
ふくれなさんは「辞めた理由を言わないっていう契約書に、私はサインしてしまった」、夜のひと笑いのメンバー・こうくんも「大人の事情でちょっと何も言えない状況」などと説明していた。
チャンネル登録者数263万人のチャンネルがーどまんは30日、ツイッターに「今回 チャンネルがーどまん、ふくれな、夜の人笑い、ハンナリーズは YouTube事務所Carry Onを脱退します」と投稿。YouTube動画「事務所を脱退しました」で経緯を明かしている。
がーどまんさんは「僕の家に国税の査察が入りました」として「僕たちは税理士にお金も払っていたのに、全く申請してくれてませんでした」と主張した。
国税の査察を受け、家の中が「ひっくり返された」としたがーどまんさん。事務所側や税理士に連絡したところ「その日に申告書を持ってきました。申告書も作れたのに、僕に共有せずにずっと放置されてました」といい、「はらわた煮え繰り返る気持ちでした」と怒りを露わに。「正直しんどすぎるっていうか。シンプルにしんどい」と苦悩を漏らしていた。
「弊社が納税資金を預かっている事実もなく、税務申告の手続等を代行することは不可能」
Carry Onは3日、公式サイトで「がーどまん氏の動画に関して」とする声明を発表した。「『チャンネルがーどまん』をはじめとする当事務所のクリエイターの退所につき、ご迷惑・ご心配をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」とした上で、問い合わせが相次いでいることや「一部において事実と異なる憶測等も見受けられます」との理由を挙げ、詳細を明かした。
「今回、税金の未申告が指摘されたのは、がーどまん氏が保有する法人(以下「当該法人」といいます。)」であり、「税理士との顧問契約は、当該法人と会計事務所との間で締結されています」と主張。「税理士とのやり取りはクリエイターが主体となって行い、フォローが必要な際は、弊社からもサポートを行っておりました」とした。
「弊社はがーどまん氏ら個人3名とマネジメント契約を締結しており、がーどまん氏が保有する当該法人とは、何ら契約を締結しておりませんでした」と指摘。「YouTubeからの広告収益の受領権限は、弊社ではなく当該法人に帰属」しているとしたほか、「当該法人としての全売上や支出については、弊社は把握できる立場になく、弊社が納税資金を預かっている事実もなく、税務申告の手続等を代行することは不可能であり、個々のクリエイターにおいて、税理士とのやり取りを進めていただく形としておりました」とした。
税金が未申告となった原因は調査中だが、2022年には発覚していたとして「弊社も、がーどまん氏と共に税理士との対話を誠心誠意進めておりました」という。「今後、係争に発展する可能性もありますので、現時点でのコメントは差し控えさせていただきます。新たに公表すべき事情が生じた場合には、速やかに公表させていただきます」としている。
「がーどまん氏以外のクリエイターとは税務含む、何らかのトラブルが発生していた事実はございません」とも主張。「各クリエイターとは退所の意向を確認した後に、その意思を尊重し契約解除合意書を締結しておりますが、当該合意書内で弊社からの退所及びその理由に関しての言論統制を行っている事実はございません」としている。
同事務所は「この度は皆様にご迷惑・ご心配をおかけしましたことを、重ねてお詫び申し上げます。弊社は今後、より一層のガバナンスの強化に取り込む所存です」と謝罪。また、「事実と異なる内容を基にした所属クリエイター及び弊社への誹謗・中傷に対しましては今後法的措置も検討してまいります」としている。
現在もCarry Onに所属しているYouTuberの「きまぐれクック」さんも3日、ツイッターで事務所の声明を引用した上で「僕も事務所から紹介して頂いた税理士さんにお世話になっておりますが、今まで何も問題なく納税は出来ております。今の税理士さんには引き続きお願いするつもりですし、事務所のサポートも満足してるのでやめる意向もありません。また、当人たちの状況は僕も全く把握してないのでわかりません」と伝えている。