MBTIは話題の性格診断16Personalitiesと「全くの別物」 協会が注意喚起...どう違う?詳しく聞いた

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   質問事項に答えると16タイプのいずれかに分類される無料性格診断サイト「16Personalities」と、スイスの精神分析学者・心理学者ユングのタイプ論をもとに16タイプに分類する性格検査「MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)」を同一視する向きが広がっている中、MBTIの専門家養成講座などを実施している日本MBTI協会が、両者は別物であると公式サイト上で注意喚起している。

   注意喚起は2023年6月中旬にSNSで話題になり、「そうだったんだ」「一緒だと思ってた」と驚く声が上がった。16PersonalitiesとMBTIはどのように異なるのか。J-CASTニュースは6月27日、協会に詳しい話を聞いた。

  • 日本MBTI協会の公式サイトより
    日本MBTI協会の公式サイトより
  • 日本MBTI協会の公式サイトより
    日本MBTI協会の公式サイトより
  • 日本MBTI協会の公式サイトより
  • 日本MBTI協会の公式サイトより

16PersonalitiesとMBTIを同一視するサイトが多く存在

   16Personalitiesは英国の会社が運営している。「定期的に新しい友達を作る」「大きなプレッシャーがあっても通常、冷静でいられる」といった質問項目に対し、同意の度合いに応じて回答することで、自身の性格が計16タイプのいずれかに分類される。

   「主人公」型のENFJ、「運動家」型のENFPといった4文字のアルファベットのタイプが診断結果で表示され、そのタイプについて「主人公型の人達は、天性の指導者で、情熱とカリスマ性に溢れています」などと詳しい説明が記されている。タイプの末尾にAssertiveを指す「-A」かTurbulentを指す「-T」といういずれかの傾向がつき計32種類になるが、タイプ自体は計16だ。

   16Personalitiesをめぐっては、SNSなどで診断結果を共有するユーザーが相次ぎ、話題になっている。各診断結果の恋愛観や適職、年収などを説明する別のサイトも数多くみられる。診断結果に使われる4文字のアルファベットはMBTIでも使われるもので、これら別のサイトの中には16PersonalitiesとMBTIを同一視するものも多い。

   こうした状況の中、日本MBTI協会が「16Personalities性格診断テストを『MBTI(R)』だと思って受けられた方へ」と題し、16Personalities とMBTIは全くの別物であると公式サイト上で注意喚起している。23年6月中旬にSNSで話題になり、同じものだと思っていたと驚く声が上がった。

「本来のMBTIは適性や適職などは一切測定・診断していない」

   日本MBTI協会の公式サイトによれば、MBTIは米国のキャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズによって開発された。

   「ものの見方(感覚・直観)」と「判断のしかた(思考・感情)」、「興味関心の方向(外向・内向)」と「外界への接し方(判断的態度・知覚的態度)」の4つの指標に分かれ、性格を計16タイプに分類して捉えようとする。

   話題になった発表では「16Personalities性格診断テストは、MBTIとは全く別のもので、質問も結果の出し方も、正式なMBTIとは全く異なります」としつつ、両方が「ENFJ」といった同様のアルファベットを使っているため、「皆さんが勘違いしてしまうのも無理はありません」と述べる。また「MBTI」は日本において商標登録されているとしている。

   J-CASTニュースの取材に応じた日本MBTI協会によると、同協会はMBTIの専門家を養成する講座などを実施している。23年6月までに、日本でMBTIの資格を持っている専門家は1500人以上いるという。

   今回注目を集めた発表は3月23日に公式サイトで公開された。注意喚起した理由は、16PersonalitiesがMBTIだと誤解される流れが2023年初めから急速に広がったためだという。

   協会はMBTI開発のそもそもの理念や目的が誤って受け取られているとし、「本来のMBTIは適性や適職などは一切測定・診断していないにもかかわらず、適性測定や適職診断テストとしてMBTIを紹介しているような大手企業まで発見」したとする。

   16Personalitiesとは別のサイトで、タイプによって将来の収入に差が生じたり、自殺率に差が出たりすると記すようなサイトも相次いで見つかったという。「自分が良い母親になれないタイプといわれて傷ついた」「俺は将来貧乏になるタイプに診断された」といった声が協会に届くようになったといい、「社会的かつ個人の人生に誤った情報による影響が、看過できないほどになった」ため注意喚起したと説明した。

MBTIと16Personalitiesはベースとなる理論が異なると指摘

   16PersonalitiesはMBTIとどのように異なるのか。MBTIを「正式な」MBTIだと呼ぶ人がいることについて、協会は以下のように述べる。

「MBTIはMBTIである。では、だからと言って、16Personalities が、『誤った』MBTIというのも間違い。16Personalitiesは16Personalitiesである。そしてMBTIと16Personalities は、まったくの別物である」

   MBTIは性格を診断せず、テストでもないという。

「MBTIの開発目的に合意された人が有資格者の支援のもと受検し、報告されたタイプが本当に自分であるかどうかの、『タイプ検証』というプロセスを経て、ご自分をじっくり分析していくことに重点が置かれるメソッドである」

   14年5月10日付の読売新聞の記事によれば、MBTIを体験した記者が90項目以上の質問に答えた段階で「ISFP」という結果が出た。その後、資格を持つ専門家と2時間ほどのやり取りをすると実は「INFJ」だったと、体験を記している。

   また協会は、MBTIと16Personalitiesはベースとなる理論が異なると指摘する。MBTIはユングの心理学的タイプ論がベースになっている。一方、16Personalitiesは「ビッグファイブ」という理論などがベースになっていると説明する。複数のサイトによれば、ビッグファイブは「開放性」「誠実性」「外向性」「調和性」「神経症的傾向」という5つの尺度を用いる。

   16Personalitiesの公式サイトでも同様に、MBTIについて触れつつも、「私たちのモデルでは、異なった性格の特徴やタイプを定義している」と述べている。別の箇所では、シンプルかつ利便性を追求するために4文字のアルファベットを採用したとしつつも、「ユングの概念は取り入れていません」としている。

   その後「ユングの概念は科学的に測定し検証することが非常に難しい」とし、「ビックファイブ性格特性と呼ばれる性格の次元を手直しし、バランスを取りました」と説明している。

   16PersonalitiesがMBTIだと誤認された理由について、協会は「MBTIオリジナルの16タイプの記号で表された16のタイプ分類の方法を用いている」という点を挙げている。

   一方でMBTIでは、同じタイプだったとしても、一人一人の成熟度が異なるために行動はそれぞれ異なると考えている。「MBTIは行動を測定するものではないというだけでなく、人の行動は多くの側面があるため、行動だけでその人のコアとなる性格を見ることは困難を極める」という。

   16Personalitiesの公式サイトでも、「私たちのサイトでは、特定の性格タイプに属する人がどのような行動を取る可能性があるかについて説明しています。しかし、指標と傾向を説明したものであり、決定的なガイドラインや答えを説明したものではありません」と呼びかけている。

「心理検査は、どんなものであれ、知らず知らずのうちにでも人の心に影響を与える」

   性格診断テストについて、協会は以下の視点をもって「受けるべきか受けないべきか、を判断していただけたら幸いである」と呼びかけている。

(1)その心理検査は誰のためのものか
(2)誰によって、どのように開発されているか
(3)開発において用いたサンプルの母集団はだれか
(4)日本語版の日本語に違和感がないか
(5)何の理論に基づいているのか、基づいていないのか
(6)その理論に基づいている根拠を示しているか
(7)その心理検査は心理についてエビデンスをもって測っているか

   協会は「心理検査は、どんなものであれ、知らず知らずのうちにでも人の心に影響を与えるものであることを知っておいていただきたい」としている。

   (R)MBTI is a registered trademark of the Myers&Briggs Foundation in United States and other countries.

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