電車の優先席で「ここはあなたが座る席じゃない」 手足3本失った男が注意されるも...感謝したのはなぜなのか

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「座らせてもらえませんか」と発言できる人は少数派

   電車では、僕が席を譲ることもあります。あまりにも足に疲労があって座っていたい時は座ったままでいますが、パッと周りを見て、「限られたこの座席を誰が一番必要としているか」を考えた結果、譲った方がいいと判断することがあります。

   元々おばあちゃんっ子なのもあって、高齢の人には座ってもらおうという意識は子供の頃からありました。その後、20歳でこの体になって数々の障害当事者と会ってきた中で、優先席に座るべき人は他にも数多くいるんだなと意識が広がりました。僕のような身体障害に限らず、見た目では分かりづらい障害がある人、様々な理由でヘルプマークをつけている人、マタニティマークをつけている人など、優先席が必要な人はたくさんいます。

   僕なんかは、どうしても座りたい時は「譲ってもらえませんか」と自分で言ってしまうけど、おそらく座りたくても自分から言えない人の方が多いでしょう。座席を求めている時というのは、電車に多くの人が乗っている時です。その車内で、6人くらいが座っている優先席に向かって「座らせてもらえませんか」と発言できる人は少数派だと思います。

   だから、本当に優先席に座るべき人が声を出しやすい空間にすることも大事だし、今座っている人が進んで「どうぞ」と譲れるような心のゆとりがあったらいいなと思います。僕が地下鉄で出会った女性のように、必要としている人が座れるように第三者が声をかけることがあってもいいと思います。

   電車でもバスでも、優先席に座る時に大事なのは周りを見ること。周りを見て、他に必要としている人がいなければ使えばいいと思うし、譲った方がいい時は譲ればいい。僕が考えているのはそんなシンプルなことです。

   これも1つの「心のバリアフリー」なのかなと思います。時と場合に応じて譲り合う心を1人1人が持っていれば、乗っているみんなが幸せになり、より豊かな社会に繋がっていくのではないでしょうか。そして譲り合う心は、お互いが目の前の相手のことを思いやることから始まると思います。

(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)

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