「もう20年以上前に、かなり使われていたわけです」
取材に対し、飯間氏は「三省堂国語辞典」に「気持ちい」という単語が載っていることを示した。
「『気持ちい』という項目は、2022年刊行の第8版で初めて載せたんです。主な説明は『気持ちいい』の項目に譲りましたが、例文の中には『気持ちく』も示してあります。つまり、『気持ちい』という形容詞の連用形が『気持ちく』なんですね」
続けて、ツイッターでは幼児語ではないかとする声も上がっている点について、必ずしもそうではないと指摘する。
「幼児語というのは、私たちの辞書では『小さい子が話す、こどものときだけのことば』と説明しています。『まんま』『ブーブー』などが典型的ですね。でも、『気持ちい』は大人を含めて幼児より年齢の高い人も使います。私たちの辞書では、方言または俗語と表示しています」
使われ方の歴史については、こう説明する。
「文化庁の平成12年度(2000年度)の『国語に関する世論調査』では、女性の16~19歳では『きもちかった』を使う人が4割を超えていました。もう20年以上前に、かなり使われていたわけです。研究者によれば、20世紀末の時点で、北海道・愛知など、地方で『気持ちいい→気持ちい』の変化が先行し、東京に入りつつあるということでした」
飯間氏自身がこれまでに見聞きした「気持ちい」の例を、「たとえば、テレビのニュースで、銀座の百貨店の女性店員が、肌に塗るジェルについて『体の表面はひんやり気持ちく、冷えるんです』と言っています。また、高校生男子の作文では、ルール破りは『きもちい行為』だと書かれています」と振り返り、「広く使われているという印象ですね」と述べた。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)