「太陽の国から里帰り!」ペルー産みかん、輸入実現の知られざる闘い 農家との衝突、添加物の問題...仕掛け人の挑戦記

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「『これはみかんだ』と自信をもって言える」

   みかんの輸入が解禁された翌19年、三井食品では満を持してペルーみかんを発売した。村上さんは「日本の人々のニーズも安全性も満たし、『これはみかんだ』と自信をもって言える商品です」と話す。

   使用する添加物の種類を減らし、自然な味を大事にしている。他のみかんと比べると青いが、エチレンガスを用いた色付けを行っていないためだという。この工程でみかんのオレンジ色を際立たたせると見た目はよいが、みかんを剥くときの香りが損なわれてしまうのだという。

村上「見た目も大事ですが、それよりも味にこだわりました。青いけれども、皮をむいた瞬間に柑橘の香りがふわりとする。食べると甘みと酸味の両方が口に広がっていくという、昔ながらのみかんの特徴、香り、糖度、酸度を追求しました」

   初年度は競合他社がいなかったためよく売れたが、翌年以降は人気の国産果実の出荷時期が被ったために売れづらかったり、夏にみかんを食べる習慣が定着していなかったために販促に苦労したりしたという。

   しかしツイッターで輸入の背景に注目されたことで、風向きが変わり始めている。向山さんも村上さんも、こうした反響に驚いている。

村上「私は長らくペルーみかんに携わっていたので、『ペルーから里帰り』をコンセプトとしていることについて、自己満足ではないかと考えていました。ですから『夏にもおいしいみかんを食べられる』という点を訴求していましたが、こうして背景に興味を持っていただけて素直にうれしいです」

    今年のペルーみかんは7月上旬に終売する見込み。大型台風の襲来によって収穫量が少なかったためだ。村上さんは「せっかく盛り上がっている最中にシーズンを終えますが、来年はもっと味も見た目も良くしていくつもりです。楽しみにしていてください」と話した。

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