新幹線の座席にあるテーブル上に、生足を置いている人がいた──。このような場面を捉えた写真が2023年6月下旬にツイートされ、車内マナーをめぐり大きな物議を醸している。
投稿には嫌悪感を示すような反応や、類似行為の目撃談が寄せられている。テーブルの重量制限が10キログラムと記されているためか、「汚いのはもちろんだが、重みでテーブルが壊れる可能性もあるのでは?」と指摘も上がった。JR各社に見解を取材した。
各社、目撃した場合は声掛け実施
テーブル上に足を置く行為は問題ないのか、J-CASTニュースは29日までに、新幹線を運行するJR東日本、JR西日本、JR東海、JR九州から見解を得た(JR北海道は回答があり次第、追記する)。4社ともこのような行為を目撃した場合、乗務員が声掛けを行っていると答えた。
JR東日本のコーポレート・コミュニケーション部門は、「新幹線のテーブル上面に足を置く行為はご遠慮頂いております」。乗客のけがや設備の破損、衛生上の問題など含めて、「設備は目的以外のご利用をご遠慮いただくようにお願いしております」と説明する。
JR西日本・山陽新幹線統括本部の広報担当は、「車両設計上、テーブルに足をあげる行為は想定しておりません」。重量超過による安全上の懸念に加え、食事や休憩中の周囲の乗客への配慮の観点で声掛けするといい、「全てのお客様が気持ちよく新幹線をご利用いただくために、車内マナーへのご協力をお願いいたします」と伝える。
JR九州・広報は、「座席のテーブルはお食事やお仕事など、ご家庭のテーブルと同様の使用を想定しております」と述べ、清掃や消毒などは乗客の入れ替わりごとに行わないとし、「次の方の使用も考慮して清潔に使用して頂きたいと考えております」と訴える。
重い物を載せると破損やけがの原因になりうると注意を呼びかけ、通常の使用方法以外によるけがは「弊社では一切の責任を負いかねます」という。
JR東海・東京広報室は、テーブルへの足上げ行為を含めたマナー違反に対するコメントとして、「他のお客様のご迷惑となる行為はお控えいただくようお願いいたします。また車内でお困りのことがございましたら、車掌またはパーサー(乗務員)に遠慮なくお知らせください」と述べた。
足の置き場をめぐり...迷惑行為の数々
JR九州は、当該行為への対策について、「車内での禁止事項をすべて表示やお知らせすることは現実的ではありません」と吐露する。見かけた際は乗務員に知らせるよう求めている。座席を使用停止にしたり、終着駅に到着した後に清掃を実施したりする。
着席時の足の置き場をめぐり、マナー違反にあたる行為や困る事例はほかにも。
「座席を回転した足上げ行為。前席の座席を蹴る・動かす(意図しないものも含む)行為。座席の隙間から前席に足を出す行為。蒸れた靴を脱がれることによる臭い」と列挙した。
このような迷惑行為には著名人からも悲鳴が上がっている。過去、お笑いコンビ・NON STYLEの石田明さんが、席の肘掛けに後ろの客が足を乗せてきた旨を不快感を露わにツイートして話題になった。
九州同様、JR西日本でも回転させた座席の上に足を置く行為がみられ、乗務員が声掛けをしている。一方、JR東日本では「席における足置き場やテーブルをめぐるご利用マナーに関するお問い合わせやご意見をいただいておりません」。
普段のテーブルの清掃状況は?
テーブルへの足上げ行為をめぐっては、今後、飲食物を置くのがためらわれるといった反応もツイッターでは出ていた。テーブル上面について、普段の清掃状況も各社に聞いた。
JR東日本では駅折り返し時や終電後に消毒液で拭き掃除をしている。JR西日本も折り返し時に汚れの確認および清掃をしており、車両基地内での清掃時はアルカリイオン水で拭き上げもしている。西は、基地での清掃頻度は車両により異なり、「途中駅でお客様が入れ替わるタイミングでの清掃は難しいのが現状です」と補足する。
JR東海は当日の車両運用によるとしながら、おおむね1日に数回、拭き掃除・消毒の清掃を行っている。
JR九州も、毎日毎回必ず実施する項目ではないものの、定期的に水拭きしている。終着駅では目視できる汚損や破損の検査・清掃をし、問題があればテーブル交換や入念な清掃をする。
「皆さまのご協力も必要」各社の思い
各社は取材で、下記のようにも伝えた。
「すべてのお客さまが快適にご利用いただける環境づくりのご協力をお願いしております」(JR東日本)
「新幹線の車内には足を伸ばした状態でお座りいただける多目的室がございます。何らかの事情があり、足をあげた状態でのご移動を余儀なくされている場合は駅係員や乗務員へご相談ください」(JR西日本)
「弊社としては、他のお客様のご迷惑となる行為はお控えいただくようお願いしており、車内で他のお客様のご迷惑となるような行為を車掌やパーサーが認めた際はお声がけをさせていただくなど、快適な車内環境づくりに努めているところでございます」(JR東海)
「皆様に快適にご利用いただいている車両は、事業者のみが作業をすれば美観や清潔が維持できるものではありません。また、乗務員もすべてのお客さまの行為に注意を払うことはできません。そのような行為を発見された際は乗務員にお知らせいただきますようお願いいたします。皆さまのご協力も必要ですのでよろしくお願い致します」(JR九州)
(7月3日12時31分追記)JR北海道広報部は7月3日、テーブル上に足を置く行為への見解を次の通り答えた。
「衛生面上はもちろん、重さによってテーブルが破損する可能性があること、またご利用のマナーから見ても他のお客様のご迷惑となるため、このような行為はご遠慮いただいております」
車内放送での注意喚起はしていないものの、乗務員が車内巡回時に発見した場合は「都度お客様へ理由を説明し、おやめいただくようご理解をいただいております」。当該行為のほか、足の置き場をめぐるマナー違反は特に見受けられないと述べる。
テーブル清掃に関しては基本的に終着駅の新函館北斗駅到着後、車両基地内でふき取り作業を実施しており、今後も引き続き定期的に行うという。
「新幹線に限らず、JR北海道では在来線のシートポケットへのリーフレット挿入やホームページにて、乗車マナーの呼びかけを行っております。皆様のご協力をお願いいたします」
新幹線。すげー不愉快。みんなマナーは守ろうね pic.twitter.com/fBfRQeHbhQ
— NON STYLE石田 (@gakuishida) July 30, 2019