テニスの全仏オープン女子ダブルス3回戦で加藤未唯(ザイマックス)が失格になった問題に関して対戦ペアの地元メディアが独自の見解を示した。
女子ダブルス3回戦は2023年6月4日に行われ、加藤、アルディラ・スーチャディ(インドネシア)組がマリエ・ブズコバ(チェコ)、サラ・ソリベストルモ(スペイン)組と対戦した。
「ボールが足や腕に当たったのならば大丈夫だったが...」
失格の発端となったシーンは第2セットの第5ゲームに起こった。ポイント間にネット際にいた加藤が、自陣コートにあったボールをコート外に出すためバックハンドで返球。これがボールガールの頭部に当たり、ボールガールは泣き出してしまった。複数の欧州メディアによると、加藤は主審に警告を宣告されたが、直後にブズコバとソリベストルモが主審に異議を申し立て判定が覆って失格になったという。
加藤の失格をめぐり欧州の元選手や解説者からブズコバとソリベストルモに批判的な声が上がり、複数の欧米メディアは主審が下した裁定を批判的に報じた。
女子ダブルスでの失格を経て混合ダブルスで優勝を果たした加藤は、6月22日に海外のテニス専門メディア「CLAY」(WEB版)の取材に対して、失格となった試合を振り返り主審とスーパーバイザーとのやりとりを明かした。
同メディアによると、加藤は主審とスーパーバイザーにボールを当てた経緯を話した際、両者から「(ボールガールが)少年だったら大丈夫だった」「ボールが足や腕に当たったのならば大丈夫だったが首に当たってしまったから」などの説明があったという。また、失意の加藤はひとりロッカールームで数時間過ごし、ブズコバから「今日はごめんなさい。あなたとあなたのパートナーが無事であることを願っています」とのメッセージを受けたが返信しなかったことを明かした。
「ただボールガールの状態を心配しただけだ」
「CLAY」の報道から2日後の24日に、ブズコバとソリベストルモの地元メディアがそれぞれ加藤の失格問題に関する特集記事を公開した。
チェコメディア「Denik」(WEB版)は、加藤の失格は「ブズコバの苦情が原因なのか?」と疑問視し、ブズコバは試合後、加藤に連絡を取ろうとしたが加藤は応じなかったと伝えた。
スペインメディア「El Debate」は(WEB版)は、試合後のソリベストルモのコメントをもとに記事を展開。ソリベストルモは「加藤にペナルティを受けさせるようなことは何もしておらず、ただボールガールの状態を心配しただけだ」と断言していると報じた。
加藤の失格をめぐり全仏オープン・トーナメントディレクターのアメリ・モレスモ氏が大会終了後に公式見解を示した。
フランスメディア「franceinfo」(WEB版)によると、モレスモ氏は「ロッカールームでは加藤の失格に関する意見は分かれていると思う。多くの人が不公平だと言うのを聞いている」とし、「私は良いか悪いかのコメントをするつもりはありません。なぜなら判定が下った後にビデオを見るのは簡単だから。この決定は審判とスーパーバイザーがビデオを見ずに判断した。グランドスラムのルールに則って下した判断は明確なものだと思っている」と語ったという。