夏が近づくにつれ、冷たい水で淹れる「水出し」のお茶がインターネット上で注目を集めている。熱いお湯を用いない手軽さが話題になっているが、SNS上の一部では衛生面を心配する声も広がっている。
東京都健康安全研究センターは、J-CASTニュースの取材に対し2023年6月23日、水出しという抽出方法や、茶葉自体に問題があった事例は確認していないと話す。
「重要なのは、容器の衛生管理です」
緑茶や麦茶や紅茶などのお茶は、茶葉もしくはティーバッグなどから熱湯を用いて抽出したものを飲用することが主流だが、昨今は冷たい水で「水出し」する抽出方法が注目を集める。麦茶については、東京都福祉保健局の健康安全研究センター公式サイトに次の見解が記されている。
「水出しであっても煮出しであっても、細菌の増殖に大きな変化はありません。重要なのは、容器の衛生管理です」
ツイッターでは6月上旬ごろ、水出し紅茶の衛生面を懸念する声が広まった。一部のユーザーが、紅茶は「熱湯で淹れて飲むことが前提」とされているために、「水出しという飲み方は想定されていない」などと拡散したことがきっかけだ。
取材に対し、同センターの企画調整部食品医薬品情報担当課の担当者は、水出し紅茶について、麦茶と同じ見解だと話す。
「水出しという抽出方法や、茶葉自体に問題があった事例はありません」
「水出し紅茶」で気を付けるべき点は?
担当者は、メーカーの表示に従って適切に管理すれば、水出し紅茶を飲むことに問題はないという見方を示す。水出し紅茶を保管する際にはどんな点に気を付けるべきなのか。
「水出し紅茶を大量に作って何日も飲み続けたり、常温に保管したりするのは好ましくないと考えております。『冷蔵庫で保存』『早めに飲み切ること』を表示されている商品も見られます。購入した商品の表示を守ることが大事だと考えております」
さらに「普通の食品と同じ注意事項を意識」してほしいと訴える。例えば水気のあるものはカビが生えやすいとして、用いる容器はよく洗って乾かし、水気をふき取るふきんなども衛生的に管理することが大切だと話す。
「茶葉や水に問題が無くても、それを入れる容器が汚染されていれば、水出し紅茶も汚染されます。水出しや煮出しにかかわらず、容器や手を良く洗い、ティーバックや茶葉を衛生的に取り扱うことが大切です」
冷茶を保管する冷蔵庫についても、注意が必要だ。
「冷蔵庫に物を入れすぎると、温度にムラが出てしまい、適切な温度で管理できていないこともあります。物を詰めすぎないよう気を付けてください」