芸能人による薬物事件や不倫騒動など、違法行為もしくはモラルに反する行動が発覚すると、次に関心が集まるのは出演作品の行方です。放送中止や公開延期などといった対応が発表されると、Twitterでも俳優・作品のファンや制作側など、さまざまな立場の人たちの間で議論が起きています。
ツイートまとめサービスのTogetterが解説する「3分くらいでわかる週刊Twitterトレンド【J-CAST出張版】」。今回は「芸能人の不祥事によるテレビや映画の放送自粛」について掘り下げます。
映画は観る側に「選ぶ権利」がある...映画監督の意見
2017年、とある映画に出演していた俳優のひとりが薬物事件で逮捕され、上映中止となったことがありました。その時、映画監督であるTwitterユーザーが「テレビや無料で見られるものは仕方ないけれど、お金を出して観る映画は選ぶ側の選択でいいのでは」とツイート。
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映画は個人の意思でお金を払って観るものであることや、逮捕された理由が薬物所持や使用だったことから「同意できる」「作品に罪はないですからね」「観に行かないという選択ができるのだから、犯罪や事故を起こしたことと、作品とは切り離して欲しい」など、映画監督のツイートに共感する声が集まりました。
観客側が「観ない」という意思表示ができる媒体については、Twitter上でも上映について寛容な態度をとる意見が少なからず見られます。
「お蔵入り」見送られたケースも
不祥事を起こした俳優が、映画だけでなくテレビドラマなど複数のメディアに露出があると当然ながら影響範囲は広がります。
2019年、放送中のNHK大河ドラマに出演していた俳優が麻薬取締法違反容疑で逮捕。この時Twitter上で心配されていたのは「また多くの出演作品がお蔵入りになるのか」ということでした。
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この俳優は名脇役として映画やテレビドラマ、バラエティ番組やゲームなど、予定も含めた出演作が多岐に渡る活躍ぶりでした。しかしNHKでは俳優の交代を発表。その他のテレビ番組は放送休止、配信コンテンツも公開中止となるなど、前例通りの対応が取られていくなかでTwitterでは「過去の出演作品も見られなくなるのでは」という不安の声が出てきたのです。
その中であるTwitterユーザーによる「主演作でもないのに出演者が逮捕されたという理由で作品を葬る風潮はやめにしないか」とのツイートが拡散されました。その理由について「脇役としてあちこち出ているような役者が捕まると一斉に作品が消えるコトになるのだから。というか主演者が逮捕でもそういうのはヤメるべきだと思う」と述べています。
映画の場合は特に制作・配給側の経済的損害も大きいことから上映を決めるケースも出ています。この俳優が出演していた公開予定の映画作品でも、重要な役柄であったことや再撮影が不可能なため、観客の判断に委ねるとして予定通り上映されました。Twitter上の反応から考えると、作品のお蔵入りが避けられる結果は歓迎されていることが予想できます。
不祥事は許せないけど作品には出続けて欲しい...ファンのジレンマ
不祥事を理由に出演者を交代する、放送を休止・終了するという対応が発表されるたび、ファンを中心に懸念の声が上がります。ただし、不祥事に対し許容しているわけではなく、ファンだからこその複雑な感情を抱えているようです。
人気男性声優の不倫問題が発覚し、出演中のラジオ番組の終了、アニメ作品の降板といった対処がされた時、あるTwitterユーザーが「実際(不倫は)許されることではないが、声優が演じているキャラを他の人が演じるのは納得いかない、というジレンマを抱えているオタクは多いと思う」と持論を述べたツイートが拡散されました。
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このツイートの通り、「彼だからこそ務められた役は山ほどあるんだから、こんなことは起こってほしくなかった」「続投したとしても、不倫のことがチラついてしまう」「作品に関係ないことが毎回頭をよぎってしまうのがつらい」と、多数の嘆きの声が集まり、ファンは複雑な思いを抱えていることがわかります。
昭和の頃はなかった?放送自粛の風潮
ある経済学者が「不祥事を起こした俳優の出演作が上映・放送を自粛する習慣はいつ始まったのか」とツイートしたことがきっかけで、昭和時代の映画やドラマ、バラエティ番組での対応など、過去の事例が寄せられたことがありました。
不祥事を起こした俳優の出演作が上映・放送を自粛する習慣はいつ始まったのか - Togetter
具体的な時期はハッキリしていないですが、確かに昭和・平成の頃から、芸能人が不祥事を理由に作品から降板することになったり、テレビ出演を自粛したりといった習慣はありました。しかし、必ずしも出演自粛や上映中止に至っていなかったケースも少なからずあったのです。
過去の事例が次々挙がるなかでTwitterユーザーからは「映画などは文化としての側面もあるのでお蔵入りは避けて欲しい」「面倒だからそのまま流しちゃえ、でいいのでは」など、この議論においても予定通り放送・上映することに抵抗を感じていないという意見がありました。
Twitterユーザーの発言からは、放送内容の差し替えや上映中止という対応に理解を示しつつも、作品が観られなくなることを懸念している人も少なくないことがわかります。今後「作品に罪はない」という考えが世論としてどこまで受け入れられるのかが注目のポイントとなりそうです。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド【J-CAST出張版】」でした。今回紹介したTogetterまとめを振り返りたい方はこちらからどうぞ。次回もお楽しみに。
【まとめ一覧】
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