あなして、教場0...最終回直後になぜ「特別編」? 元テレビ局Pが指摘する「ビジネス優先」の狙い

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   ドラマ「あなたがしてくれなくても」(フジテレビ系)に特別編の放送があることが、2023年6月22日の最終回終了直後に明かされた。

   予告では「次週、特別編」「最終回で描かれなかった空白の数ヶ月」とテロップでも概要を紹介。最終回では「9ヶ月後」へ時間が一気に飛ぶシーンがあった。

   最終回の翌週に特別編があることについては、「あなたがしてくれなくてもめっちゃ良かった...特別編楽しみ...」といった声がツイッターに上がっているが、その一方で、「え、あなたがしてくれなくても特別編地上派でやるの??教場もだよね」といった驚きの声も上がっている。

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ドラマが最終回を迎えた後に「特別編」

   「風間公親 -教場0-」(フジテレビ系)でも19日の最終回後、次週に特別編を放送することを知らせる予告編が流れた。

   ドラマ最終回後に「特別編」が公開されることはあるが、有料配信サイトで配信されたり、最終回から一定の期間を置いてから公開されたりすることが多い。しかし、先述の両作については最終回のわずか1週間後に同じ放送枠で放送される。

   22年10月期の「霊媒探偵・城塚翡翠」「invert 城塚翡翠 倒叙集」(日本テレビ系)でも、後者の放送期間中に「invert 城塚翡翠 倒叙集 特別編」が同枠で放送されるということがあった。

   こうした特別編の放送の仕方について、J-CASTニュースは23日、元毎日放送プロデューサーでメディアエンターテインメントを研究する同志社女子大学の影山貴彦教授に見解を聞いた。

「カンフル剤を本来なら1回のところ2回打つことが出来る」

   影山氏は「あなたがしてくれなくても」の特別編予告映像に書かれていた「最終回で描かれなかった」という表現に注目。最終回の後に作品を補完する内容が放送される形式について、「必ずしも美しくない」としつつ、

「『最終回』と銘打つ以上、最終回で物語が完結しないというのは、やはり、首をかしげざるを得ません。何せ、完結するから最終回であり、文字通り『最も終わる回』ですからね。このやり方では、特別編も本編でしょう」

   と、特別編が最終回になってしまうと指摘する。その上で、今回のような構成は、実にテクニカルなのではないかとも語る。

「ドラマが最も注目されるのは第1回、その後、一般的に視聴率は右肩下がりとなり、その次に注目されるのは最終回です。視聴者がドラマに再び注目するのは当然ながら、『最終回』と銘打たれるからです。となると、最終回の後に『特別編』とされる放送回を設ければ、さしずめ、視聴率アップのためのカンフル剤を本来なら1回のところ2回打つことが出来るわけです。『ビジネス』を優先させた結果、何をもって最終回なのかがあやふやになってしまっている点もまた、よろしくないと思います」

「ビジネスとしては分かる。でもね...」

   また、特別編が最終回の後に放送されることで、テレビ局としての安心材料になる側面があるとも指摘する。

「近年はドラマをきちんと13週、つまり、ワンクール放送するという例は少なく、ドラマ改編期に発生する『エアポケット』を埋めるために単発のバラエティー番組が放送されることが多いですが、これらの視聴率は言ってしまえば水物。それに比べ、同一ドラマであればある程度の視聴率の予想は立ちます。総合して言えるのは、『ビジネスとしては分かる。でもね...』という感想でしょうか」

   ただ、このような手法が取られる場合があることについて、テレビ局にだけ原因があるわけではないとも指摘する。

「近年は『視聴者の堪え性がなくなっている』と言うと変ですが、ドラマの視聴率を維持することが以前よりも難しくなっているようです。そういった状況の中での苦肉の策という側面はあるかもしれません」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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