「蛙化現象」は今の恋人・友人関係のあり方を象徴している
「蛇化現象」が台頭したのには、どのような社会的背景があるのか。先に広まっていた「蛙化現象」と何か関係があるのか。早稲田大学文学学術院文化構想学部・石田光規教授は、「『蛇化現象』は『蛙化現象』が注目されて使われるようになったからこそ出てきた言葉ではないかと思います」と述べる。
「蛇化現象」は「恋愛にありがち」だとし、それ単体で見ると実は珍しい現象ではないという。
「蛇化現象」という名前自体が珍しく、蛙と蛇で対比しやすいからこそSNSで流行ったと石田教授は推測する。「蛙化現象」こそ注目すべき心理で、今時の若い世代の恋人関係、友人関係のあり方を象徴的に表しているという。
石田教授は、かつて友人関係は喧嘩を繰り返しながら強い関係を築いていくものであったが、2000年代に入ってからは関係が壊れやすくなったため、友人だからこそ悪い部分・暗い部分を見せられず、喧嘩もできなくなった傾向があるとする。
「今の友人関係は自分の価値を保ち続けないと仲間の輪から外されてしまうという不安があり、それを恋愛関係に当てはめると『蛙化現象』になります。どこかで自分の落ち度を見せたら冷められてしまうのではないかとなるわけです」
今の40代、50代の人にとっては「蛇化現象」で起きていることは馴染み深いとし、反対に「蛙化現象」については交際前によく見定めるため、交際段階までいったら些細なことでは冷めなかったと石田教授は指摘する。